ベーシック・インカム制度の導入

AIに仕事を奪われて人口の9割以上に仕事がない社会になったら、失業者たちの生活を保障するための対策としてベーシック・インカム(BI)という制度を導入することが考えられます。収入が無い人に対して、今は失業保険とか年金とかを支給していますが、それを全廃して仕事をしている人にもしていない人にも一律に一定額を支給するという制度です。

現在の失業保険とか年金などは、特定の条件を満たす人にのみお金を支給する制度ですが、その条件を満たすかどうかの判断するために多額の行政コストがかかっています。また支給するか否かは最終的には行政の判断になるので、行政の権限が肥大化してしまいます。

このような裁量行政を廃止して役人を解雇しなければならないので、BIを実現するには強力な政治的なリーダーシップが必要ですが、やれば行政コストの大幅な削減ができます。ただしBIは全員に支給しなければならないので、どうしても増税による財源確保が必要になります。

仕事をしている人は、税金が増えますがBIの追加収入があります。仕事をしていて600万円程度の年収がある中間層の負担が従来よりも増えないようにすることも可能です。それ以上の収入がある家族は、BIの導入によって負担する税金が増えてしまいます

仮にBIが一人当たり毎月8万円にすれば、仕事の無い4人家族で年収384万円になります。健康保険制度や奨学金などの社会福祉制度はなくなりますから、現在の年収384万円世帯よりも生活は厳しいですが、なんとか生活できそうな水準です。

仕事が無くてもなんとか暮らせそうな社会は実現できそうですが、9割以上の人が、BIのみに頼って生活する社会は、別の大きな問題を抱えるでしょう。AIにより生産性が飛躍的に向上するので、仕事をしている1割以下の人々の収入は飛躍的に増えます。超格差社会になるわけです。今のアメリカも相当な格差社会ですが、それよりもはるかに極端な格差が生まれます。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする