特殊技能制度は、世界の流れに逆流

特殊技能制度の改正は、いろいろな意味で問題があります。

「人手不足なので、外国人労働者に頼らなければならない」という理由で特殊技能制度は、外国人労働者を活用しようとしています。しかしこの説明は、間違っています。日本の労働力人口は6870万人で、失業者は180万人(2.7%)です。主婦や高齢者など失業者に含まれてはいませんが、良い仕事があったら働きたいと思っている人は多いです。彼らを含めると、数百万人の日本人が仕事を求めています。日本は労働力不足ではありません。

これらの人たちは、賃金が安いので働くのをためらっているだけで、労働に見合う水準まで賃金を挙げれば、日本人の働き手は現れます。これを妨げているのが外国人労働者で、彼らが賃金相場を押し下げているので、結果的に人手不足をもたらしているのです。さらに、日本人が得るべき所得が外国人に流れ、日本人が貧しくなっています。

岸田首相は、日本人の賃金を上げることを公約に掲げました。しかし、これと実質的な移民政策である特定技能労働者の拡大とは矛盾します。日本人の賃金を引き下げ、さらに外国人に対する行政サービスや治安の悪化によって日本の負担が増えます。岸田首相は、深く物事を考えず、人の言った言葉をそのまま繰り返しているだけのように見えます。

欧州諸国では、移民を大量に受け入れたことで、行政負担増や治安悪化などが大きな問題になり、移民に対しては厳しい政策を採るようになっています。イギリスはEUの積極的な移民政策に反対してEUを離脱しました。岸田政権は、世界の流れに逆行しているのです。

以前にも説明したように、国家の仕組みは会員制のゴルフクラブと同じです。クラブの会員がゴルフクラブの所有者であるように、日本という国家の所有者は日本人です。日本人と外国人は、その地位がまるで違うのです。

このような近代国家の大原則を理解せず、マルクス主義の平等観によって、自国民と外国人が一緒になって「共生社会」を作ろうとして大混乱しているのが西欧社会です。またアメリカのバイデン政権も、不法移民を野放図に入れて、同じような問題を引き起こしています。日本はこれらの欧米の失敗から学ぶべきです。

近代社会の大原則は、「仲間である国民同士で助け合おう」という考え方です。これが誠でありFreedomです。近代国家は、この二つの考え方によって豊かで安定した社会を作りました。そしていま、これがグローバル主義・社会主義によって侵されようとしています。

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