公共投資をすれば、経済は成長します。この公共投資と経済成長の関係は、東京一極集中と地方の衰退にも当てはまります。東京一極集中が進むのは、首都であるがゆえにやむを得ないとよく言われています。しかし、欧米の首都への人口シェアは数十年間15%程度で一定しています。日本だけが1955年当時の15%から最近は30%を超えています。
もともと日本の政府は、全国にまんべんなく高速道路網と新幹線網を張り巡らすという計画をしていました。そして大都市圏から順番に実施していきました。そして大都市圏の実施が終わり地方に手を付けようとしたときに、公共投資の削減が始まり、地方の高速道路網と新幹線網は、実施されないままに放置されています。
その結果、大都市と地方との間のインフラ格差が拡大し、経済成長を続ける東京に人が集中するようになったのです。高速道路までの所要時間別の「商業年間販売額」の25年間伸び率(1980年~2005年)は下記です。
30分以上 : 8%
20~30分:34%
10~20分:82%
10分未満:92%
特に衰退が激しいのが沖縄と北海道です。国土の端にある沖縄と北海道はもともと他の地方へのアクセスが不便なので不利です。そこにもってきて公共投資がされていないので、余計に激しく衰退しています。
地方の交通インフラを改善すれば、地方の経済が活性化するとともに、東京の人口を減らすこともできます。また、これによって東南海地震などの大災害によって東京が受ける被害を少なくすることもできます。
北海道の広大な土地が中国人などの外国人に買われているのは、北海道の経済が衰退し、背に腹は代えられずに土地を外国人にも売らざるを得ない状況があるためです。その理由を更にさかのぼれば、政府が公共投資、特に交通インフラ整備をやらないために、産業活動の上でも生活の上でも、北海道が他の地方自治体に比べて相対的に不便になっているからです。
上記のような結論を、元建設省の道路局長をしていた大石先生が述べています。国の借金が1000兆円以上あるという財務省のウソに基づいた公共投資大幅削減のおかげで、このようなことになってしまいました。北海道で外国人が土地を買うことを防ぐ根本的な対策は、まずは北海道の活性化です。
そのためには、途中で放置されている交通インフラを整備することです。具体的には新幹線専用の第二青函トンネルを作り、北海道内の高速道路と新幹線を充実させて、北海道と東京との時間的距離を短縮することです。
北海道の土地が外国人に買われているのを防止する対策を私は考えました。その結果、法律で規制するだけではなく、北海道の経済自体を復活させなければならない、という意外な対策にたどりつきました。