香港の資本主義と民主主義体制を50年間維持するという協定を結んだのは中国共産党政府とイギリス政府で、アメリカは協定に関与していません。だから中国がイギリスとの協定を破ったとしても、アメリカには関係ないはずです。
香港をどのような体制にするかというのは中国の内政問題で、アメリカが口を挟むのは内政干渉になります。それなのにアメリカは、中国がイギリスとの協定を破ったことを怒り、香港民主派の運動を熱烈に支援して内政干渉をしています。
アメリカがこのような「おせっかい」をするのは、アメリカ人がキリスト教の信仰から生まれたFreedomの考え方を信奉しているからです。
イエス・キリストを信じている人間の心は正しく、正しいことしか考えない、とキリスト教は教えています。キリスト教徒はどんな場合でも正しいことしかしないから、ルールで縛らずに自主性に任せれば良い、と考えます。そしてキリスト教徒は仲間だから互いに助け合おう、と考えます。これがFreedomの考え方です。
ではイエス・キリストを信じない者はどうか。彼らは心が邪悪のままなので、厳しくルールを適用し、彼らを力でねじ伏せ、正しいことを行うように強制しなければならない、と考えます。また彼らにはキリスト教の信仰を植え付けなければならない、とも考えます。これもFreedomのもう一つの側面です。
このようなFreedomの視点から香港民主化運動を見るとどうなるでしょう。香港のFreedomを守ろうとしている民主派は心正しいキリスト教徒だということになります。彼らは仲間だから、隣人愛を発揮して助けなければなりません。実際、民主派のリーダーである、黎智英(ジミー・ライ)、周庭(アグネス・チョウ)、黄之峰(ジョシュア・ウォン)の三人はみんなキリスト教徒です。
一方、香港のFreedomを破壊しようとする中国共産党政府は、異教徒であり、従って心が邪悪なままです。だから彼らは力でねじ伏せて正しいことをさせなければなりません。香港のFreedomを維持させなければならないのです。
Freedomには、「正しいことを行うのであれば、実社会の法律やルールなど無視しても構わない」という考え方もあります。この考え方から、「アメリカは香港民主化問題の部外者であり、中国の内政問題でもあるから、アメリカは口を出すべきではない」などという国際的なルールなど、無視するのです。
香港民主化問題は、キリスト教から生まれたFreedomの視点から見ると、良く理解できます。