私は、タリム盆地とトルファン盆地(中国政府は、この地域を新彊ウイグル自治区と呼んでいます)が、ウイグル人の領土であることを否定しているわけではありませんが、彼らは太古の昔からこの地に住んでいたわけではないことを、指摘したいと思います。
2000年以上前には、タリム盆地とトルファン盆地のオアシスには、ソグド人というペルシャ系の民族が住んでいました。もともとこの地は、アケメネス朝ペルシャや匈奴・突厥などの遊牧民が領有権を争っていました。漢・唐などの大帝国は、名目上だけの話ですが領有権を主張していました。
8世紀になってモンゴル高原をウイグル族というトルコ系の民族が支配するようになりましたが、キルギス族というトルコ系の民族に撃破され、タリム盆地とトルファン盆地に逃げ込みました。そこで従来から住んでいるソグド人と混血して、今のウイグル人ができました。
このようにウイグル人は1000年間タリム盆地とトルファン盆地に住んでいますが、太古の昔から住んでいたわけではなく、先住民と混血しています。今はウイグル人がこの地に住んでいるので、この地域がウイグル人の土地であることは否定できません。しかし、過度に感傷的になって「昔からの土地が今中国人に奪われた」と思う必要もありません。もっと冷静に歴史を見つめるべきです。
その後、モンゴル高原や中国には、元・清という遊牧民や狩猟民の大帝国ができ、タリム盆地やトルファン盆地を名目的に領有したことはありますが、実質的にはウイグル人は独立していました。
ところが1950年になって、中国の共産党政府は軍隊を派遣して、ウイグルを侵略し併合したのです。地下資源が豊富で土地も広いので、この地は中国にとって重要です。そこで漢人を送り込み、邪魔なウイグル人を絶滅させて、その支配を確実なものにしようとしています。
具体的には、大量虐殺をし、ウイグル女性に対して避妊手術を強制して、ウイグル人を物理的に絶滅させようとしています。またウイグル語やイスラム教を禁止して、彼らを漢人化しようという政策も併用しています。
中国は他国を次々と侵略する国家です。ウイグルが侵略されてしまったという事実に日本が無関心で抗議しなければ、中国は日本を甘く見て、本格的に日本の尖閣・沖縄・北海道などを侵略してきます。「明日は我が身」なのです。そういう意味では「ウイグル人を人権侵害している」という表現は、正しくありません。人権侵害というレベルのことではなく、ウイグル人絶滅政策なのです。
我々日本人がウイグル人に出来る支援は、亡命ウイグル人を日本に永住させるということではありません。ウイグル人は文化的に日本人と相当異なるので、共住することはお互いに不幸になります。彼らが独立を回復して、ウイグルで平和に暮らすことが出来るように支援すべきなのです。