日本人は日本経済を悲観的に考えていますが、「バブル崩壊史」をたどることによって、その原因が少しは分かってくると思います。
バブルは1985年のプラザ合意による急激な円高によって景気が冷え込んだため、金利を下げて内需拡大をしようとしたことによって生じました。金利を下げて需要を増やそうとしたのに思うようにならず、余剰資金が株や土地の投機に流れたわけです。
バブル時代の日本は非常な好景気だったと考えられていますが、実際にはそういうこともなく生活物資の価格上昇も緩やかでした。株と土地に無関係の一般のサラリーマンは、好景気を実感していませんでした。
株が非常な勢いで上がった原因の一つは、証券会社の不正行為でした。株は自己責任で行うものなのに、証券会社は大口の顧客に対して株が下落した時にその損失を補てんする密約をするという、とんでもないことをしていました。損をすることがないのであれば、取引額が大きくなり、株価はどんどんあがります。
株と土地の価格が異常に上がったので、政府や日銀はこれを抑えようとしました。このためには、株の損失補償の密約や土地取引の規制のがれを取り締まれば済む話だったのですが、日銀はなんと、金利を大幅に上げてしまいました(公定歩合2.5% → 6%)。大蔵省の銀行局も銀行の貸し出しを制限しました。
これによって、株価や不動産価格土地の価格が低下しただけでなく、さして好調ではない一般の経済活動が大打撃を受けてしまいました。株や不動産の担保価値が下がったので、銀行の不良債権が増加しました。
ちょうどその頃に、BIS規制が始まりました。スイスにある国際決済銀行(BIS)はユダヤ系の民間銀行ですが、世界中の銀行に隠然たる勢力を持っています。それが世界中の銀行にBIS規制という通達を流したのです。銀行が国際的な業務をする場合には、自己資本が融資額の8%以上、国内取引でも4%以上でなければならないという内容です。
不良債権を多く抱える日本の銀行はその基準をクリアーするために、融資額を大幅に減らし始めました。企業に貸した資金を無理やりに取り返す、いわゆる「貸しはがし」です。