日本人の脳に、経済に関してどのような情報が蓄積されているか、見てみる

ハイエクの学説では、日本と欧米で同じ経済活動が行われても、日本人と欧米人は頭の中の分類の体系が違うので、違う理解をするはずです。これは一般人の常識としては極めて当たり前ですが、新古典派などの従来の経済学では当たり前ではありません。

新古典派などほとんどの経済学派は、「人間は合理的に判断するので、同じ情報を得たら同じように行動するはずだ」と考えます。文化や宗教の民族による違いを考慮しないのです。そこで日本の学者がアメリカに勉強に行って最新の経済理論を持ち帰り、それをそのまま日本の経済に適用してしまうわけです。

バブルの崩壊以来30年間、日本は経済成長せず、世界の趨勢から取り残されています。その間日本の経済学者や経済官僚は、有効な対策を立てていません。バブル崩壊直後は、大規模な公共投資をしましたが、効果はあまりありませんでした。その後、不況が長く続いたからそろそろ好転するはずだと待っていても、良くなりませんでした。次にアベノミクスを始めましたが、当初の目標を到達できていません。そこで素人が言うのも差し出がましいのですが、ハイエクの学説に従って日本経済を見つめてみるのも、頭の体操になるのではないか、と私は考えました。

景気が良くなるとは、みんなが盛んに消費をして商品の需要が増えるということです。従って景気対策とは、日本人に消費をして生活を楽しみたいという気持ちを起こさせることです。人間はもともと、消費をして便利で楽しい生活をしたがります。その一方で、あまり派手に消費すると後が大変だと心配もします。

人間は、経済状況によってお金の使い方を決めます。社会の景気が良いと自分の将来を楽観してお金を使いますが、不況の時は将来に備えて節約志向になります。

そこで人間は世間の景気の様子をうかがうのですが、人間が外界であると認識しているのは、実際には自分の脳の中の分類の体系の内容です。複雑で膨大な分類の体系の中には、「お金・経済」とでもいうべき分類があり、その中に整理され蓄積された内容が、その人間にとっての「世間の景気」なのです。

今、日本人の脳の中にある「経済」という分類の内容が悲観的なので、日本人は節約志向に傾いているわけです。

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