高橋是清は、いろいろやっていくうちに総理大臣になった

高橋是清(1854年~1936年)の名前を多くの人は聞いたことがあると思いますが、具体的に「何をした人なの?」と聞かれて、答えられる人はそんなに多くないと思います。「昭和11年に起きた2・26事件で青年将校に殺された人だ」と答えられる人は、かなりの歴史通です。

私も高橋是清にはあまり興味がありませんでした。ところが今から9年ぐらい前に、NHKのドラマ『坂の上の雲』(司馬遼太郎原作)をテレビで見ていたら、西田敏行が扮する高橋是清が脇役で出てきました。

西田敏行が扮する是清

本物の是清

高橋是清は、子供の時にアメリカで奴隷にされました。また、日露戦争の際に欧米で国債8億円を募集することに成功し、昭和初期の恐慌を収拾して、日本経済を再び成長軌道に乗せたりもしています。そんなこんなで彼は総理大臣にまでなりましたが、最後は大蔵大臣をやっていた時に、反乱軍に暗殺されてしまいました。

「いったいどういう人だったのだろう」と、是清に興味を持って彼の自伝を読んでみました。彼は1921年に総理大臣になるのですが、他の総理大臣経験者と経歴が違うのです。彼の前の総理だった原敬は、外務官僚から政党政治家に転身したのですが、いかにも総理を目標にして頑張ってきたという感じです。

高橋是清の次の総理だった加藤友三郎は海軍大将で、日露戦争の時は東郷平八郎司令官の参謀長をしていました。彼も総理になるのにふさわしい経歴を歩んでいました。

ところが高橋是清には、総理を目指して頑張ってきたというのではなく、いろいろやっているうちに総理になってしまった、という感じなのです。

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