アメリカにも男性と女性の差を認めないという社会現象が起きています。トイレも男性用と女性用に分けてあったのを一つにしている都市などもあるということで、日本よりも極端です。といっても別に、アメリカで大乗仏教の教義が普及しているからではありません。これは、キリスト教を否定する運動の一環なのです。
キリスト教は、神が人間を作ったと考えます。聖書の創世記には、「神は自分の形に人を創造された。即ち、神の形に創造し、男と女とに創造された」と書かれています。アメリカではキリスト教の勢力が極めて強いので、圧倒的に多くのアメリカ人は、「神が男と女を別のものとして作ったのだから、両者が違うのは当然である」と考えていました。
そんなアメリカでも社会主義者など、キリスト教を否定する勢力が徐々に増えてきて、キリスト教の考え方を攻撃するようになりました。この攻撃目標の一つが、「神が男と女を別のものとして作った」という考え方です。
彼らは、1970年代に、アメリカの憲法に「男女平等」の条項を追加しようとして憲法改正運動を行いましたが、女性キリスト教団体の強い反対によって廃案になりました。従って今のアメリカでは、男女平等は法的な権利としては確立していません。
アメリカのキリスト教徒は、「男尊女卑」の考え方に基づいて「男女平等」に反対しているのではありません。男性と女性とでは神から与えられた役割が違うから、それを無理やりに形式的に平等にしても、男女ともに不幸になる、と考えているからです。
「男女平等」の規定を憲法に追加することに失敗した反キリスト教の勢力は、さらに過激な手段でキリスト教の考え方に反対するようになりました。その手段の一つが、男女共用のトイレの設置です。また、LGBTの主張も、その一つです。
日本の男女平等の主張は大乗仏教の教義から出てきたものであり、アメリカの反キリスト教の運動から来たのとは、元になる発想が異なります。日本の男女平等論者は、アメリカの反キリスト教運動の影響を受けていますが、彼らの多くは日本とアメリカの事情の違いを知らないと思います。それは朝日新聞の記者も同じでしょう。