座談の名人が、揚げ足をとられた

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員長の森喜朗氏が、2月3日にした発言を、朝日新聞は激しく批判しました。森氏は翌日4日に謝罪をしましたが、それでも批判は収まらず、11日には委員長を辞任することになりました。

尚、森喜朗氏は1937年生まれの83歳で、石川県の出身で祖父の代からの地方の政治家を出している名家の出身です。2000年から2001年にかけて総理大臣を務め、2012年には国会議員も引退しました。そして競技大会組織委員長を2014年から無給で務めています。

私は、2月3日の発言内容を読んでみました。森氏自身が、自分の発言がマスコミに叩かれることを予想していました。「結局女性っていうのはそういう、あまり言うと新聞に悪口書かれる、僕がまた悪口を言ったとなるけれども」と言っているのです。

森氏は座談の名人という定評があります。自分をネタにして冗談を言って相手の気分を楽にしたり、相手に分かりやすいようにはっきり言ったり、などのサービス精神があるのです。このように人間関係の達人なので、総理大臣にまでなりました。

森氏のこの種の逸話はたくさんあります。例えば、ITをイットと言い、英語も読めない首相だとマスコミで散々馬鹿にされました。また、「一日に二度昼飯を食べる男」などともいわれていました。神道に関して、「日本の国、まさに天皇を中心としている神の国である」と発言して物議を醸したこともあります。

2000年5月の日米首脳会談の際に、森首相はクリントン大統領に「How are you?(ご機嫌いかが)」というつもりが「Who are you?(あなたは誰)」とやってしまいました。大統領が苦笑いしながらも、ユーモアなのかと思い「I’m Hillary’s husband(ヒラリーの夫です)」と答えると、森首相は「Me too(私もだ)」と答えた、という伝説があります。

これはもともと英語が不得意の韓国大統領を皮肉った韓国製のジョークだったものを、毎日新聞の記者が森首相とクリントンの間の出来事にアレンジした捏造らしいのです。いつも自分をネタにして相手にサービスしているものだから、多くの人はこれを本当だと信じてしまいました。今回のJOC臨時評議員会での森喜朗氏の発言も、この種のサービスでした。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする