安易な方法しかとれない

30年間経済成長をしていなかった日本は、消費税を10%に引き上げたことと、疫病の蔓延によって、最近になってさらに景気が悪化しました。景気を良くするためには、最も効果の大きい二つの政策を実施しなければなりません。
1、消費税を減税すること
2、中国に移ってしまった日本企業の生産拠点を、日本に戻すこと

安倍前首相は、上記の二つの政策が最重要であることをよくわかっていましたが、国内外の抵抗により、十分に実施できませんでした。菅総理も当然上記二つの政策が重要であることは気づいているはずですが、積極的に推進しようという気持ちは無いようです。

将来は消費税を更に上げようと考えてはいますが、減税しようとは考えていません。中国とも友好関係を維持しようとしていて、トランプ大統領のように対決して自国の国益を守ろうとは考えていません。しかし日本の総理として何もしないわけにはいきません。そこで抵抗の少ない最低賃金の値上げというアトキンソンの提言を取り上げた、ということがすぐに分かります。

こうなっているのは、菅総理自身が利害調整型で、国家観を持っていないからです。しかしそれだけではなく、日本人の心から誠やFreedomの考え方が抜けてしまっているからでもあります。国民は自分たちのレベルにあった総理しか持てない、ということです。

Freedomや誠は、自分の利益を優先するにではなく無私になって(神と同じ心から)、正しいことを行い、仲間を助けよう、という考え方です。明治維新の時、日本の武士たちは新しい国家体制を作って欧米の侵略から日本を守るため、誠の心を発揮して、武士の特権を自ら放棄しました。これに不満で反乱を起こした武士は、少数派でした。

今の日本人が明治維新当時の武士と同じように誠の心を十分に持っていたら、企業経営者は自主的に支那から手を引き、生産拠点を日本に戻し、日本人を雇用するはずです。そうなれば、長い目で見て自分の企業は繁栄し、日本も豊かでさらに安定した国になり、自分たちの子孫を幸せにすることができます。

ところが、このようなことをせず、自社の短期的な利益を優先し、首相に対して中国と融和的になることを要求しています。この要求に逆らえない首相は、最低賃金を上げるという、安易で効果がない政策を採らざるを得ないのです。そしてこのような考え方が出てくるのも、Freedomを自由と誤訳したため、日本人は誰でも自分のことを最優先にして「勝手気ままに振舞うことが出来る」と考えるようになっているからです。

菅総理はこのような方向に日本を引っ張っていこうとしているように見えます。首相がアトキンソンさんを政府の成長戦略会議の議員に任命した意味は、こういうことだ、と私なりに理解しています。

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