菅首相のブレインのアトキンソン氏は評判が悪い

前回までは、「アイヌ新法」というとんでもない法律の制定に菅首相が係わっていた、ということを書きました。この首相で日本は大丈夫か、と少し心配になってきましたが、そうこうしているうちに、菅首相が今度は、竹中平蔵慶応大学名誉教授(パソナグループ会長)とデービッド・アトキンソン氏を政府の成長戦略会議の議員に任命した、というニュースが聞こえてきました。

竹中平蔵教授は、皆さんもご存じのように小泉内閣の時に経済閣僚を務めました。彼は格差を広げ日本のデフレを深刻にしたということで、ネットでは非常に評判が悪いです。もう一人のデービッド・アトキンソン氏については、つい最近まで私は存じ上げませんでした。

彼はイギリス人です。オックスフォード大学で日本学を学び、その後ソロモンブラザーズやゴールドマンサックスという超一流の投資銀行の日本法人で幹部を務めていました。投資業界を引退後、茶道をするなど趣味を楽しんでいましたが、今は小西美術工芸という中小企業の社長を務めています。小西美術工芸は、今から380年前の寛永年間に日光東照宮の創建の際に設立されたというとんでもなく古い会社で、現在は国宝や重要文化財の修理を行っています。

アトキンソンは非常に優秀なビジネスマンなので、2017年に日本政府観光局の特別顧問に任命され、その縁で菅官房長官の観光政策や経済政策のブレインになりました。そして今回菅氏が総理になったので、政府の成長戦略会議の議員に竹中平蔵先生と共に任命されたわけです。経産省の幹部によると、「菅首相はアトキンソン信者」だそうです。

私はネットで、アトキンソンのことを調べてみました。そうしたらものすごく評判が悪いのです。ある国会議員は、「アトキンソン氏は、中小企業を潰そうとしている」と発言しています。またある女性評論家は、「アトキンソンさんは、子供を持たない主婦を脱税者呼わばりしている」と言っています。

有名な経済評論家は、彼を国際金融資本の手先、と呼んでいます。もと財務官僚はアトキンソンの経済理論の誤りを指摘しています。ある経済学者は、「菅総理はさまざまな人から意見を聞いているだけで、別にアトキンソンを経済ブレインにしたわけではない」と多くの人の不安をなだめようとしています。

これほど悪評が高いので、私はかえって彼に興味を持ち、著書を何冊か読んでみました。
『日本再生は、生産性向上しかない』2017年6月
『新生産性立国論 人口減少で経済の常識が根本から変わった』2018年3月
『国運の分岐点 中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか』2019年9月

読み終わった直後の印象は、「彼の主張には無理があるな」というものでした。

それを具体的に言うと下記のようになります。
1,論点を中小企業の生産性という問題に絞りすぎている。日本のGDPが増えない要因はほかにもあるし、対策もいろいろ考えられる
2,早急に日本の経済を立て直そうとするあまり、日本経済を統制しようという社会主義の匂いを感じる。そして、昭和初期に金本位制に復帰しようとしてデフレ政策を行い、日本を恐慌にした浜口雄幸首相を連想した
3,中小企業に対して合併させて規模を大きくさせ数を減らそうという姿勢が強い。しかし、弱い者を保護育成するというのがFreedomではないか
4、彼は日本式経営を誤解しているようだ

菅首相やその周辺がアトキンソンの提言に従って強硬策を採り、かえって日本経済を混乱させないか、心配になりました。

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