日本の財政は極めて健全なので、消費税を増税する必要はありません。それにもかかわらず、真実を隠し、日本経済を不況にしてまで増税しようとしています。その理由はいくつかあります。
消費税の8割は国税ですが、2割は地方税なのです(都道府県が1割、市町村が1割)。税収不足に悩む地方自治体にとって消費税は貴重な財源です。そこで消費税の増税によって日本経済が不況になるなどという先のことを考える余裕もなく、過疎地の地方自治体や地域住民は消費増税に賛成するわけです。
下記の表は、国税の種類別税収額です。
・ 1989年 1997年 2014年
消費税率 3% 4%(5%×0.8) 6.3%(8%×0.8) *
消費税額 3兆円 9兆円 16兆円
法人税率 40% 37.5% 25.5%
法人税額 19兆円 13兆円 11兆円
所得税 21兆円 19兆円 17兆
*1997年の消費税増税の時、2割を地方税とした(つまり、消費税の一部を地方税にすることによって、地方を増税賛成派に引きいれた)
各国の間で企業の誘致が過熱し、世界的に法人税率の値下げ合戦が始まりました。日本も法人税率を下げたのですが、経済が拡大しないため、法人税額が減少しました。その穴埋めのために消費税を増税したのです。つまり企業の利益を確保するために、消費税を上げたわけで、経団連や大企業の経営者が消費税増税に賛成するのは、このためです。
財務省の官僚が強引に消費税の増税を推進しています。多くの識者が、「なぜ財務省は国の経済を破壊してまで消費増税に走るのか」と首を傾げていますが、形式的な理由は財務省設置法(1999年)の内容にあります。
第三条で、財務省の任務を「健全な財政の確保」と規定しています。つまり財務省は、支出を税収の範囲内に抑えなければならず、支出が増えても国債の増発など借金に頼ってはならず、増税をしなければならないのです。これが財務官僚を縛っています。