消費増税は、アメリカとの貿易摩擦を呼ぶかもしれない

日本の大企業は、多くの下請け企業から部品やサービスを調達しています。親会社である大企業は、消費税を上乗せして下請けに部品やサービスの代金を支払うのが建前です。しかし実際は、下請け会社は消費税が増税されるたびに増税分を価格に上乗せすることができずに経営が苦しくなり、多くの下請けが潰れそうな状態になっています。そして値引きを強要した分だけ、親会社は儲かります。消費税は大企業を優遇する税金なのです。

消費税は国内の取引にのみ課税されます。輸出した製品には消費税は課税されないのですが、輸出された製品を作る際に下請けから購入した部品やサービスには、すでに消費税を支払っているという計算になっています。従って親企業は、その分の消費税の還付を受けます。

アメリカの小売売上税は最終的な小売にだけ課税されるので、税務署から企業に税金が還付されることはありません。従って、日本の消費税還付制度は、アメリカ人には輸出補助金のように見えます。輸出に補助金を付けることは、不公正なことだとしてWTOが原則禁止しています。

今回、消費税を10%に上げたら日本の景気が悪化することは確実なので(政府も消費税値上げによって景気が悪化することを、公式に認めています)、国内の冷え込みをカバーしようとして、企業はアメリカへの輸出を増やすはずです。そうなると、アメリカの貿易赤字が増えます。トランプ大統領は、アメリカファーストを主張して不公正な取引に対抗処置を取っているので、消費税還付制度にも文句を言ってきて、貿易摩擦に発展する可能性があります。

現在の日本の実質的な公租負担率は、所得最下位の十分の一層で19.75%、最上位十分の一層で22.18%と、ほとんど変わりません。消費税は逆累進性が顕著なので、今回値上げするとその差がほとんどなくなります。

累進課税が良いかどうかの議論ではなく、日本の低所得層は結婚できない状態にまで経済的に追い詰められています。それに消費税増税が追い打ちをかければ、日本社会の基礎が破壊されてしまい、税収は減ってかえって国の借金が増えてしまうことは明白です。

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