日本社会党や民主党など労働組合を基盤にしている左翼政党が政権を握っていた時に、消費税の増税が決まっています。消費税は所得に関係なく一律に課税される逆累進性が高い税金なので、左翼政党は反対するはずなのに、その逆なのです。おそらく政治を実際に行った経験がなく情報も不足しているので、官僚や圧力団体にいいように操られた結果だと思います。
日本の消費税の特徴は、食料品などの生活必需品に対する軽減税率や免税がないことです。西欧の消費税は20%を超える税率になっていますが、生活必需品は免税になっているので、平均した税率はそれほどでもありません。日本の消費税率8%は、すでに西欧並みの重税なのです。
また、日本の消費税をアメリカの消費税と比べるとその特徴が良く分かります。日本の消費税は80%が国税で、地方自治体の取り分は20%だけですが、アメリカの場合はすべて地方税です。
1929年にアメリカで大恐慌が起き、税収が不足しました。そこでフーバー大統領が石油の販売に消費税を課税したために、恐慌が深刻になり、歴史的な大恐慌になってしまいました。その時の経験から、アメリカは消費税を景気の過熱を抑える手段と考えるようになりました。
景気が過熱して物価上昇率が高くなると消費税率を上げて景気を冷やすわけで、中央銀行の公定歩合と同じ役割だと考えています。このような消費税の性質から、消費が盛んな大都会のある州では税率が高いですが(10%ぐらい)、人の少ない田舎州では税率0%です。また景気の変化に即応して、すぐに税率を変更しています。
日本は、流通過程の各段階の取引ごとに消費税がかかり、受け取った消費税から支払った消費税を差し引いた差額を税務署に収めますが、アメリカは最終的な小売の場合にだけかかります。従ってアメリカでは消費税と言わずに小売売上税と言っています。
日本の場合、流通の各段階で消費税が課税されるので、税率が上がると流通の各段階で消費が減退します。ちょうど陸上のハードル走で、ハードルを乗り越えるたびごとにスピードが遅くなるのと同じです。結果的に日本の消費税は、アメリカのように最終の小売りの段階で一回だけ課税される場合より、消費の落ち込みの度合いが大きくなります。