最初の移住者は、熱心なプロテスタントだった

今でもアメリカではキリスト教の勢力が強く、リーダーは真面目なキリスト教徒でなくてはなりません。大統領候補者たちが選挙で勝とうとして、自分が敬虔なキリスト教徒であることを積極的にアピールするのもこのためです。

余談ですが、日本の麻生副総理はカトリックの信者です。彼が総理大臣になった時、アメリカではちょっとした騒ぎになりました。蒋介石は、日本との戦争の際にアメリカから援助を引き出そうとして、キリスト教に改宗しました。同じように、日本の首相にキリスト教徒(できればプロテスタント)を持ってくるのは、アメリカとの関係を良くするための実に有効な方法だと思います。

今ではアメリカは奴隷制度を廃止していますが、依然として人種差別意識が強烈です。それは、キリスト教の勢力が強いからです。アメリカでキリスト教の勢力が強いのには、それなりの歴史的な経緯があります。

西欧で迫害されたまじめなプロテスタントが、「神の国」を作ろうとしてアメリカに移住して作ったのが、東部の諸州です。それが発展してアメリカ合衆国になりました。だからアメリカは、筋金入りのキリスト教国としてスタートしました。

メイフラワー号でやってきた初期の移住者は、「ピルグリム・ファーザース」と呼ばれています。これは「神の国を目指してやってきた建国の父祖たち」という意味で、聖書の故事にならっています。

3000年ほど前、エジプトでいじめられ奴隷労働をさせられていたユダヤ人たちをモーセが救いだし、神が「お前たちの土地だ」と約束したユダヤに帰ろうとしました。その途中で海を渡ったり異民族と戦争をしたりして、やっとの思いで帰り着きました。

それと同じく、17世紀初頭のプロテスタントたちは、イギリスの迫害を逃れ、大西洋を渡り、インディアンと戦って、やっとの思いで神の約束した土地にたどりついたのです。