大名も百姓も、一揆では刀を抜かなかった

江戸時代の百姓が武器をたくさん持っていたという事実は、調べれば簡単に分かることで、プロの歴史家ならさまざまな資料からこの事実に気がつくはずです。しかし敗戦後の40年間、どの歴史家もこの事実をあきらかにしませんでした。

おそらくこの事実を指摘するのはタブーだったのでしょう。アメリカ占領軍は、日本人の自衛権を徹底的に侵害しました。これは秀吉や江戸幕府もしなかった暴挙なので、下手にこの事実を暴露すると、お上から叱られるとでも考えたのでしょう。

そしてこの隠ぺいが、「日本の民百姓は、400年間武器を持たなくても生活が成り立っていた。これからの日本も同じで軍事力を持たなくても、平和を維持できる」という考えを助長しました。つまり憲法第9条を歴史家が側面から支えていたのです。

また敗戦後の歴史学者たちは、「江戸幕府は百姓から自衛権を取り上げて、お上のいいなりになる愚民にした」という神話を作ろうとしました。ここにも「国家は悪いことをする」という考え方から歴史を歪曲する姿勢が伺えます。さらにここから「江戸時代の百姓は徹底的に搾取された」という神話が生まれました。この件については、後ほど書こうと思っています。

江戸時代から戦前にかけての日本人には、「自衛権」という考えがありました。自分や家族・村の仲間を守るという正しいことを行うには、力が必要だと考えていたわけです。

その一方で、人を殺すのは良くないことで、やってはいけません。例外的に神様もやむを得ないと考えるような場合に限って認められると日本人は考えていたので、一揆という単なる税金問題解決の手段には、武器を使いませんでした。この考え方こそ「誠」です。日本には昔から誠の考え方がありました。

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