中国と助け合えるのか?

前回までに述べたように、RCEPやTPPのような国際的経済協定は、一種の経済的ブロックで、自国の国益を追求するための手段です。互いに理解しあえる仲間の国が集まって、双方が利益を得るために作られました。「国際協調」などという曖昧な感覚で推進するべきものではありません。

FTAは、Free Trade Agreementという英語名からも分かるように、Freedomの考え方から成り立っています。EPAもFTAを基礎にしているので、同じくFreedomの考え方から来ています。

Freedomは、仲間どうしで助け合おう、という考え方で、正しい心を持った者にしか認められない考え方です。FTAやEPTも、正しい心を持ち互いに助け合うことのできる国の間で締結されるべきものです。

中国は2001年にWTOに加入して20年になりますが、規約を守ろうとはしません。RCEPに加入してもその規約を守る気が無いことは、明らかです。日本政府は、RCEPをリードして加盟国に規約を守らせ、さらに高いレベルの規約を作ると言っていますが、本当にそのようなことが出来ると考えているのでしょうか。

中国側のRCEPに関する報道を見ると、「RCEPでは中国のルールを採用できる」と手放しで喜んでいます。Freedomに基づいた公正な規約など考えていないのです。どう考えても中国が入ったEPTなど作るべきではなく、中国抜きでインドと東南アジアとでFTAを作るべきだったのです。それを作るのはさまざまな困難があるでしょうが、時間をかけてやっていけばよかったのです。

Freedomの視点からRCEPを見れば、日本と中国は仲間になった、ということです。アメリカも当然そのように見るはずです。いま、アメリカと中国は深刻な対立関係にあり、日本としてはアメリカを選ばざるを得ない状況になっています。そのようなときにRCEPを締結した菅内閣が何を考えているか、分からなくなりました。

おそらく、「自由」というのを勝手気ままに振舞うことだと考えているだけで、正しいことを行うという考えが含まれている事に気づいていないのでしょう。一方でRCEPを調印して中国の仲間に入りながら、「中国が尖閣を奪いに来たら守ってくれ」とアメリカに頼むというのは、どう考えても辻褄が合いません。

私は「誠主義」を提唱し、「誠及びFreedomのどちらの考え方もない国々とは、必要最小限の関係しか持つべきでない」と提唱しています。RCEPはまさにこの主張に反します。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする