RCEPもTPPもどちらもEPAですが、TPPは本格的なEPAであるのに対し、RCEPは見せかけのEPAで実態はFTAである、という違いがあります。
FTAは加盟国が相互に関税を下げるだけの協定です。しかしEPAは、関税を下げ合う以外に、人の移動の自由・知的財産権の保護・投資の自由化・労働者の人権を守る・国営企業を制限する・企業への規制の撤廃・環境に配慮するなど、経済に関連する様々な分野で双方の国が守るべきことを定めています。
一方の国が他国の技術をパクッて製品を作れば、研究開発費を節約できるので製品を安く作ることが出来ます。だからこのような不公正なことを許さず、きちんと特許料を払った上で競争をしよう、というのが知的財産権の保護です。
相手の国の企業は買収してその技術を利用できるのに、自分の国の企業の買収は許さない、というのでは、公正な競争を期待できません。絶対に倒産しない国営企業にどんどん補助金をつぎ込んで育成するのでは、他国は太刀打ちできません。
劣悪な環境で労働者に実質的な奴隷労働をさせたり、環境への投資をせずに工場の周囲に公害をまき散らしたりしながら生産すれば、その分だけ安く物を生産できます。そのような不公正なことが起きないように、労働者の人権を守るとか環境に配慮する、という規定があります。
つまり、知的財産権を守り・資本投資を自由に行うことができ・環境に配慮し・労働者の権利を保護するようなまともな国しかEPAに参加できません。企業の活動を規制する政策を行い、国営企業に独占的な地位を与えるような社会主義国である中国は、本来はEPAに参加できません。
しかし中国を参加させるために、様々な規定を緩々にして中国が加盟できるようにしたのが、RCEPです。だからRCEPは実質的なFTAなのです。日本政府は、当初は規制を緩々にしているが、徐々に規定を高めていって、RCEPを実質的にもEPTにする。日本はその指導的役割を担う国なのだ、と説明しています。
RCEPの加盟国は、東南アジア10各国、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、日本の15か国です。