薬と従来型老化防止策の併用

シンクレア教授は、『LIFE SPAN 老いなき世界』の中で、老化防止策として、近い将来に完成される予定の薬の服用と断食や運動などの従来型の老化防止策の二つを、提案しています。

近い将来完成予定の薬とは、NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)のことで、動物実験で有効性が既に確認され、いまは人間が服用して、その有効性や副作用の有無を確認している段階です。この薬がいつ完成して公式に認可されるのかは未定ですが、アマゾンではすでに非常な高値(一か月分で15万円ていど)で売られています・このことについてはすでに書きました。

NMNは体内のNADを増やす作用がありますが、これだけで完璧に老化を防止できるわけではありません。オートファージ(老化した細胞を元気のよい細胞が食べるという自浄作用)を促進するセノリティクスという薬はまだ市販されていません。メトホルミンという糖尿病治療薬は老化防止の効果もあるそうです。しかし今は、糖尿病患者しか入手できません。いずれにしても薬はまだ手軽に入手できません。だから、それまでは断食や運動などの従来型老化防止策しかありません。

このような従来型の老化防止法を続けていると、「我々の先祖は、食べていくために必死に努力していたのだな」ということを感じるようになります。食べるための必死の努力を続けていけば、体もそれに応じて、食べるための努力が続けられるように体の老化を防いでくれるのです。

ところが、食べるための必死の努力をしなくても薬さえ飲めば、食べるための必死の努力を続けることができるようになる、ということになると論理矛盾のような気がします。医学はずっと発達してきましたが、そのたびに新たな問題が起きています。人間の寿命が伸びたらガンが大きな問題となってきました。かつては、ガンは病気だと思われていましたが、今は老化現象の一種だと理解され、老化を防げなければガンも完治できない、と考えられるようになりました。

今、老化は薬で防止できるという話が持ち上がっていますが、これを本当に信じても良いのでしょうか。生命の仕組みというのはそれほど明快に解決できるのでしょうか。私は個人的には、過度に信頼することは危険だと考えています。また、老化防止剤だけで完全に老化を防止することは不可能だし、そもそも普及にはまだ時間がかかりそうです。従って、それまでの間、私は医者が指示した従来型の老化防止策を行っていこうと考えています。

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