老化防止の薬

生物には2種類の遺伝情報があります。一つはDNAで、A・G・C・Tという四種類の塩基の配列で、髪の毛の色とか肝臓の形とか個々の生体情報が蓄えられています。これは非常に丈夫で熱湯で煮ても壊れず、数万年前の遺骨の中のDNAも再生可能です。

もう一つが、エピゲノムです。これは遺伝子情報のうち、DNA以外の総称です。その中でも重要なのがサーチュインで、DNAに保存されている情報をオンにしたりオフにしたりするスイッチの役割などをします。iPS細胞を分裂させ成長させて体の特定部分にしようと思えば、その中に含まれているDNAのうち、手や頭など特定部分に係る遺伝子をオンにし、他の遺伝子をオフにするわけです。

また、DNAが壊れたら、本来の持ち場を離れて故障個所に赴き、修理するのもサーチュインの役目です。このサーチュインをはじめとしたエピゲノムはデリケートで壊れやすいのです。

DNAが頻繁に壊れ、その修復のためにサーチュインが忙しくなりすぎると、サーチュインは本来の持ち場に帰れなくなります。そうなると本来の持ち場のDNAのオン・オフが乱れるなど正しく機能しなくなります。これが老化です。タバコ・放射線・有害な化学物質などが老化の原因として知られていますが、DNAを激しく破壊してサーチュインを非常に忙しくさせるからです。

サーチュインの修復活動を活性化させるのには、適度にストレスを与えるのが有効です。絶食・きつい運動・高温や低温などを経験すると、サーチュインは危機感を持ち、シャキっとするのです。私が三年以上やっている健康法がこれです。

サーチュインを活性化させる新しい方法が新たに開発されつつあります。サーチュインはNDA(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)という分子を通じて仕事をするのですが、年とともにこの濃度が薄くなり、働きが鈍くなり老人特有の病気を引き起こします。

従って、NDAを補給してやれば若返るのです。実はNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)という薬を使って生体内にNDAを増やす、という実験が行われています。ラットを使った実験では効果が確認され、今は人体に投与している段階です。閉経した高齢の女性がNMNを服用したことにより月経が再開した、という報告もされています。ただし、副作用がないか、どの程度の効果があるのかは、いまだに未知数です。

いつ頃人間への効果が学問的に認められるのかは、はっきりしていません。実はNMNは、アマゾンですでに売っています。ただし非常に高価で、一か月分が15万円ぐらいします。ホリエモンは三年ぐらい前から、それも毎月百万円分ぐらい服用しているようです。さすがに新しい技術に対する感度が良いですね。NMNが正式に認可され、保険適用されて安く入手できるようになるまでは、もう少し時間がかかりそうです。

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