マスコミの役目は、権力を監視することなの?

先日、テレビに時事通信社の田崎史郎さんが出ていました。彼はいつも、まともなことを穏やかに分かりやすく解説されるので、私はいつのまにか彼のファンになってしまいました。

この番組では加計学園のことを扱っていたのですが、その中で田崎さんは、次のような内容の発言をしていました。「多くのジャーナリストは、権力を監視するのが自分の役目だと思っています。私が時事通信社に入った時も、報道の役目は権力を監視することだ、と教えられました。私のように、事実を報道するのがジャーナリストの役目だと思っている者は、少数派です」

なんとなくこの番組を見ていた私は、この田崎さんの発言にびっくりして、目が覚めたような気分になりました。私はその時まで、ジャーナリズムの役目は真実を報道することだ、と思い込んでいたからです。朝日新聞の慰安婦捏造記事などの偏向報道は、ジャーナリストの単なる劣化現象なのだろう、と思っていました。ところが田崎さんは、そうではない、というのです。

ジャーナリストに面と向かって、「ジャーナリズムの役目は、事実を報道することですよね?」と聞けば、おそらくみんなが「イエス」と答えると思います。田崎さんの発言の真意は、「多くのジャーナリストは、事実を報道することと権力を監視することの二つの役割の内、権力を監視する方がより重要だと考えている」ということだと思います。

そもそもジャーナリズムに対して、「権力を監視してくれ」などと誰が頼んだのでしょう。総理大臣以下の行政府を監視するのは、直接的には国会の役割であり、最終的には国会議員を選挙する国民が行政府を監視する仕組みになっています。さらに議員を経由せずに国民が直接行政府を監視する直接請求権という制度もあります。ジャーナリズムが権力を監視する仕組みなど、世界のどこにもありません。

「ジャーナリズムは第四の権力だ」と、いう説があり、政治学者などが唱えています。ジャーナリズムが現実社会に大きな影響力を持っているという事実を指摘しているだけで、社会が正式にジャーナリズムを権力だと認めているわけではありません。ジャーナリズム第四権力説は、ジャーナリストが自分たちの持つ社会への影響力を自覚し、誤報や誤解を与えるような記事を書かないように、襟を正すべき自戒の言葉なのです。

新聞社やテレビ局に入社するのは非常に難しく、ジャーナリストは難関を突破した優秀な人たちばかりだと思います。またそのほとんどが、「社会を良くしたい」という若者らしい正義感に駆られてジャーナリストになった有為の人材だとも思います。

そのような優秀な人たちがなぜ、加計学園報道のような下らないことをするのでしょう。官僚たちが自分たちの利権を守るために、必要な獣医学部増設を認めようとしなかったというのが、加計学園問題の発端です。そこで官僚たちの抵抗を排除するために「特区」という制度ができ、獣医学部を増設できるようにしました。前川を始めとした腐敗官僚たちが、「獣医学部の増設は不要だ」ということを説明できなかったために、政府が「はやく特区制度の結論通りのことをやれ」と言っただけの話です。

ところが多くのマスコミは、前川のように売春婦を買い、さらに天下り禁止の法律を破った犯罪者をヒーローに持ち上げて、内閣を非難する偏向報道を続けています。これが本当に「権力を監視する」行動なのでしょうか。

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