南米、東欧には先進国がない

キリスト教の自由や神道の誠という考え方が先進国を作りました。「神と同じ正しい心を持ち、他人を助けるためならば、従来の法律やルールを破っても構わない」という考え方によって、国民が互いに助け合うようになり、また社会を変革するエネルギーを生み出して、近代社会を作りました。そしてついにはその国を、先進国に押し上げたわけです。

世界の歴史を大きく捉えてみると、他人どうしが自然に助け合って社会を変革していくような文化が醸し出されるには、1000年ぐらいキリスト教または神道の信仰が継続していなければならない、という推定が成り立ちます。

ローマ帝国がキリスト教を公認したのは4世紀初めで、フランス・ドイツ・イギリスでキリスト教が普及したのが6世紀です。それから1000年経過した16世紀に宗教改革が起き、キリスト教をまじめに問い直す風潮が生まれ、その結果西欧は近代社会を作り始めました。彼らの一部がアメリカに移住し、「自由の国」を作りました。

スペインやポルトガルにキリスト教が普及したのは西欧諸国と同時期でしたが、8世紀にイスラム教徒に占領されキリスト教化が中断しました。12~13世紀にかけてキリスト教が勢力を回復しましたが、これからまだ1000年経っていません。これらの諸国が十分に近代国家になりきっていないのは、これが原因だと思います。

ロシアは10世紀前後にキリスト教化しましたが、13世紀にモンゴル人に征服されイスラム教が流れ込んできました。キリスト教のモスクワ大公国が独立したのは15世紀になってからで、それから今まで600年しか経っていません。

バルカン半島がキリスト教化したのは早かったのですが、15世紀にイスラム教のトルコ人に占領され、独立を回復したのは19世紀になってからです。中南米やフィリピンの現地人がキリスト教化されたのは、せいぜい今から500年前です。しかもその地にキリスト教をもたらしたのは、スペイン人とポルトガル人というキリスト教が醇化していない民族でした。

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