マホメットが神の啓示を受けてイスラム教を始めたのが西暦610年ですから、それから1400年以上経っています。
国民のほとんどがイスラム教徒だという国も多いのですが、そのすべてが先進国になっていません。原油などの地下資源が豊富に出たり貿易の拠点になったりして経済的に豊かなイスラム教国はありますが、効率的な国家組織を持ち技術の裏付けと勤勉な国民性によって産業を発展させた国はありません。
私は以前から、「なぜイスラム教国は先進国になれないのか」をずっと考えてきました。イスラム教についても色々と勉強しましたが、どういう宗教なのかまだ良くわかりません。礼拝に参加したわけではなく、イスラム教の指導者と話しをしたことも無いので、感覚的につかめないのです。
マホメットには息子がいなかったので、その跡目を巡って争いが起きました。娘婿の家系の者と、優秀な宗教指導者だがマホメットとは血縁関係にない者との間の争いから、二つの宗派が生まれました(スンニー派とシーア派)。派閥の論理から生まれた教義の違いなので、それが信者の心に大きな影響を与えたとも思えません。実際に最近までは、一般のイスラム教徒は両派の違いをほとんど意識していなかったようです。
イスラム教はユダヤ教から派生していて、同じくユダヤ教から分かれたキリスト教の弟分にあたります。ユダヤ教とキリスト教の神はともに「ヤハウェ」と呼ばれ、同じです。イスラム教の神は「アラー」ですが、これはヤハウェをアラビア語に翻訳した言葉です。つまりユダヤ教・キリスト教・イスラム教は同じ神様を信仰しています。
ユダヤ教の聖典は旧約聖書だけですが、キリスト教の聖典は、旧約聖書+新約聖書です。イスラム教の聖典は、旧約聖書+新約聖書の一部+コーランです。
イエス・キリストの扱いを比べてみると、ユダヤ教から見たらイエス・キリストはインチキ宗教の教祖で犯罪者ですが、キリスト教では神様です。
イスラム教はイエス・キリストを預言者として尊敬していますが、神様とは考えていません。マホメットは、イエス・キリストよりも偉い預言者ですが、神様ではありません。
このように三つの宗教の教義は、互いに微妙な関係にあります。