アメリカも西欧も、企業に有利な経済環境を作ろうとして、その障害になる人種差別や移民差別を経済的自由の考え方によって破壊し、ノッペラボーの世界を作ろうとしました。
政府やマスコミがこの考え方を国民に植え付ける際に、「人種差別はいけない。それぞれの民族は固有の宗教や考え方を持って良い」という人道主義的な説明をしました。マスコミなどはこのような社会を「多様性を認める社会」とおしゃれな言い方をしています。
政府やマスコミによる教育・洗脳活動が数十年間行われた結果、多くの国民はこの考え方が正しいと信じ込んでいました。ところが最近になってアメリカでも西欧でも、「グローバル化によって失業が増え賃金が下がって格差が広がり、自分たちは不幸になった」と多くの国民が気づきました。
こうなると、「正しい心を持っているか」「人を助けようとして行ったことなのか」という自由が認められる条件が、「製品を安く供給する」という俗っぽいものから、「イエス・キリストと同じ正しい心で人を助けようとしたのか」という伝統的・宗教的なものに変わっていきます。
アメリカの黒人や西欧のイスラム教移民は「イエス・キリストと同じ正しい心を持てない劣った人間だ」として、差別しようという動きが激しくなります。アメリカのトランプ大統領の出現や西欧で移民を制限しようとする政党の躍進は、このような動きに対応したものです。
これに対し、マスコミや産業界などグローバル化推進派の反撃は常軌を逸しています。 トランプ大統領たたきは今でも盛んに行われていますし、2016年のフランス大統領選挙で移民の制限を主張している国民戦線のルペン代表に対する攻撃は、ものすごかったです。
ほとんどのマスコミがルペン候補を非難し、産業界は彼女を目の敵にして選挙資金を貸す銀行もありませんでした。既存の政党では彼女に対抗できないので、決選投票では無所属のマクロン候補を超党派で応援してやっとのことでルペン候補を抑えることができました。
このような国を挙げてのルペンたたきにもかかわらず、彼女は大統領選挙で三分の一以上の票を獲得しました。フランス人の移民に対する不満は相当に積もっています。
欧米での人種差別や移民排斥運動は、今後ますます盛んになっていくと思います。