日本のマスコミは、欧米の差別問題をよく分かっていない

西欧諸国で移民に対する不満が高まっていたところに、近年になって大量のシリア難民が西欧に押し寄せたため、西欧人の不満が爆発しました。シリア難民の中にシリア人ではなくただ西欧で働きたいだけの「偽装難民」が数多く含まれていることも、西欧人の不満を余計募らせました。

その結果、2016年にイギリスで行われたEU離脱の賛否を問う国民投票では、離脱派が勝ちました。多くの国民が、英国がEUに残留していれば移民の大量流入を止めることができない、と判断したからです。

2017年に行われたフランスの大統領選挙では、移民の制限を主張する国民戦線のルペン候補が、決選投票にまで進みました。ドイツの連邦議会議員選挙でも、移民の制限を主張する「ドイツのための選択肢」が大躍進しました。さらにオーストリアの下院議員選挙では、移民の制限を主張する国民党が第一党になりました。

西欧の一般人も、グローバル化によって自分たちが不幸になることに気がついてきました。西欧は伝統的にキリスト教国ですが、キリスト教にはもともと宗教差別や人種差別をする考え方があります。グローバル化の危険に気づいたので、西欧もアメリカと同様にますます移民排斥の動きが強まると思います。

日本のマスコミは、アメリカの人種差別について「トランプは変なオジサンで、それに同調した人種差別主義者が騒いでいる」と、人種差別主義者が特殊な少数派だと考えているようで、アメリカの人種差別の根の深さをまるで理解していません。

「人種差別をするのは悪いことで、絶対にしてはならない」と信じ込んでいて、キリスト教の教義が人種差別を支えているなど人種に対する多様な考え方があることに、気がついていません。

西欧の移民排斥に関する報道でも同じ態度で、移民を制限しようという当たり前の主張をしている政党に対して「ナチスのような極右」というレッテルを貼っていて、宗教的な背景をよく理解していないようです。

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