またNHKが印象操作した

NHKは「サイエンスZERO」という科学番組を作っています。私はNHKを見ないのですが、毎週日曜日の夜遅くこのシリーズを放映しているようです。問題の番組は、「日本人のルーツ発見! 核DNAが解き明かす縄文人」というもので、2016年4月に放映されました。私は最近になってユーチューブでこれを見て、その内容にびっくりしました。

日本人のルーツ発見! 核DNAが解き明かす縄文人

この番組に国立遺伝学研究所の斎藤成也教授が解説者として登場して、「現代日本人が縄文人から受け継いでいるDNAは20%にすぎず、残り80%は縄文時代になって支那や朝鮮からやってきた渡来人から受け継いでいる」と説明していました。この結論自体は目新しいものではなく、明治時代からずっと人類学者の主流が唱えていたものです。

ただし、戦後の70年間で考古学と遺伝子工学が急激に進歩し、「現代日本人はDNAの20%しか縄文人から受け継いでいない」という従来の学説の矛盾が続出し、この説は科学的に成立しなくなりました。弥生時代に日本に渡来した支那・朝鮮人はごくわずかで日本人のDNAにほとんど影響を与えていない、ということが分かってきたのです。

だからこの番組で、「われわれ日本人は、縄文人の直系の子孫だということが分かった」という結論を出すのだろうと私は思っていました。ところが斎藤教授は、従来からの「現代日本人は縄文人からわずかなDNAしか受け継いでいない」という説を主張したので、私は驚いたのです。

そこで繰り返しこの番組を見ると、斎藤教授ははじめと終わりで言っていることが違うということが分かってきました。最初は「現代日本人が縄文人から受け継いでいるDNAは20%にすぎない」と言っていたのですが、終わりの頃には「遺伝学者は日本人のルーツ解明のシナリオを提示しているだけだ。縄文人はそれほど均一でないことが分かってきた」と説明を変えました。

つまり、現代の日本人が縄文人の遺伝子をどれだけ受け継いでいるのかはよくわからない、というのが結論なのです。