大アジア主義

大アジア主義というのは、「東アジア諸民族は、漢字・仏教・儒教など共通の文化を持っているからお互いに理解しあえる。だから大同団結して欧米に対抗しよう」という考え方です。

この考え方は、19世紀半ばの幕末に日本で生まれた考え方で、支那人や朝鮮人の賛同者はあまりいませんでした。それは日本人が勝手に、東アジアには共通した文化がある、と勘違いして考え出したもので、支那人や朝鮮人はそう思っていなかったからです。

提唱したのは、幕末最大の名君だと言われた薩摩藩主島津斉彬や勝海舟、吉田松陰などの錚々たる人物でした。従って幕末・明治維新から戦前、さらには現在に至るまで、日本人に非常に大きな影響力を持っています。

日本の政府が大アジア主義をそのまま標ぼうしたことはありません。明治期は「脱亜入欧」が基本方針で、欧米諸国に文明国だと認められようと一所懸命だった時代です。そういう時に文明開化に反する大アジア主義を真正面から主張するわけにいかなかったからです。

政府の正式な政策になったことはありませんが、大アジア主義の考え方は日本人に広く浸透していたので、日本の政策に大きな影響を与え続けていました。
昭和初期の「大東亜共栄圏」構想も、大アジア主義の流れを汲んでいます。

大アジア主義は、日本人の勘違いから生まれた現実性のない考え方なので、大いに日本の国益を損なってきました。しかし日本人はいまだに、この考え方から卒業できていません。

これから、大アジア主義について、書いていきます。