イエス・キリスト

預言者は、神の命令を預かってそれを実施するために民に命令する者のことなので、神の代理人であり国民の指導者です。強力な預言者は国王になります。

ユダヤ史上最も輝かしい預言者は、ダビデ王です。彼は3000年ほど前のユダヤの国王でした。この時がユダヤ王国の最盛期でしたが、その後ユダヤ王国は衰退し、最終的には国が外国によって滅ぼされてしまいました。

外国の支配を受けて苦しい思いをしていたユダヤ人は、「いつか偉大な預言者が現れて、自分たちを救ってくれる」と考えるようになりました。いずれ現れる偉大な預言者は、宗教的指導者であると同時に世俗的な名君だと考えられていました。

しかし、次第に世俗的な意味が薄れ、精神的な指導者だと考えられるようになりました。さらに偉大な指導者は、ダビデ王の子孫だとも考えられました。

そういうユダヤ人の期待に応えるようにして現れたのが、イエス・キリストでした。

新約聖書の最初に来るのが「マタイによる福音書」ですが、その第一章は「アブラハムの子であるダビデの子、イエス・キリストの系図」という書き出しから始まって、延々とイエスに至るまでの家系を書いています。つまり聖書は、「イエス・キリストはダビデ王の子孫だから、本物の偉大な預言者なのだ」と強調しているのです。

要するにイエス・キリストは、偉大な預言者であり、名君の子孫なのです。そしてもともとは俗世の権力者という性格をも持っていましたが、次第に精神的な指導者になっていきました。

この説明は、そのまま天皇陛下にもあてはまります。