モーゼ

聖書には「預言者」がたくさん出てきます。預言者は神の言葉をあずかる者であって、未来に起こることを語る予言者とは違います。

旧約聖書の「出エジプト記」に、モーゼという名の有名な預言者のことが書かれています。
あるとき神がモーゼの前に現れ、エジプトへ行ってユダヤ人たちを救いだしてこい、といきなり命令しました。当時ユダヤ人はエジプトで奴隷にされていて、つらい労働を強制されていたのです。

モーゼは、「私はエジプトでは殺人を犯したお尋ね者なので、捕まって殺されてしまいます。そもそも私にはなんの力もありません」とその役目を辞退しました。しかし神は許さないので、モーゼは仕方なくエジプトに出発しました。

エジプトで国王と面会したモーゼは、ユダヤ人を解放するように要求しました。エジプト王は当然その要求を拒否しましたが、モーゼは対抗処置としてナイル川の水を血に変えて飲めなくしたり、疫病を流行らせて多くのエジプト人を死なせました。

神はモーゼに特別の役割を担わせましたが、それを成し遂げるために必要な不思議な能力や権限・助言者などをも与えたのです。

モーゼの対抗処置にまいったエジプト王は、ユダヤ人の解放に同意しました。エジプト王の気が変わらないうちにと、モーゼはユダヤ人を率いて急いでユダヤをめざしました。

ユダヤ人を解放したことを後悔したエジプト王は、軍隊に一行を追わせました。前は紅海で行き止まりになり、後ろからはエジプト軍が迫ってきてモーゼは進退窮まって神に祈りました。その時に紅海の水が割れて道が出来たことは、有名な話なのでみなさんもご存じでしょう。

預言者とは、神の命令を預かってそれを実行する者です。預言者に限らず、それぞれの人が異なる使命を神から授けられ、それを成し遂げるための能力や権限を与えられている、とキリスト教は考えます。人間は基本的に平等ではないのです。