岩倉使節団は欧米の実情をつぶさに視察しましたが、特にキリスト教が多くの団員に強い印象を与えました。
市民が日曜日ごとに家族で教会に通っているのを見て、キリスト教の影響力の強さに驚きました。また、多くの欧米人が、日本がキリスト教を解禁することをやかましく要求しました。
江戸時代初期に江戸幕府が出したキリスト教禁令を、明治政府はまだ解除していなかったのです。このままではまずいと悟った日本は、使節団が帰国直後に、禁令を解除しました。
欧米の文明の土台にキリスト教があり、近代化の原動力になったのもキリスト教の信仰だ、ということを使節団の団員も次第に分かってきました。
このようなことから、キリスト教の信仰を日本に積極的に導入しようとする意見も、団員の中に出てきました。中でも伊藤博文は、「日本人を全員キリスト教徒にしよう」などと極論を吐いて、団長の岩倉具視からしかられました。
コメント
ブログ、大変興味深く読ませて頂きました。恐れ入ります、
伊藤が「日本人を全員キリスト教徒にしよう」などと極論を吐いて、団長の岩倉具視からしかられました。ということが分かる一次資料、出典など、ご存知でしたら教えてくださいませ
伊藤博文がキリスト教を積極的に導入しようとしたことは結構有名で、いくつかの本に書いてあります。私の読書ノートをざっと調べたところでは、宮本孝『アメリカの岩倉使節団』に書かれています。私がブログの記事を書いた時に参考にしたのがこれか否かは、覚えていません。伊藤博文とキリスト教の関係を調べるのであれば、大日本帝国憲法を制定する過程を調べたらいかがでしょうか? 彼は西欧の憲法とキリスト教の関係をかなり研究していました。
ご丁寧に回答くださり、ありがとうございました。