ローマ教皇選出会議

昨年、ひさしぶりにローマ市の一角にあるバチカン市国に行きました。ここは国全体(東京ディズニーランドより狭い)が美術館という感じです。中でもシスティーナ礼拝堂はミケランジェロが描いた天井画が有名で、中は見物客でごったがえしていました。

このシスティーナ礼拝堂で、コンクラーベ(ローマ教皇選出会議)が開かれます。世界中から枢機卿(カトリックの最高位の聖職者)が集まり、新しいローマ教皇を指名します。

新しいローマ教皇が決まったことは大事件ですから、日本のマスコミも報道します。テレビなどでは、「枢機卿が集まって新しい教皇を選出した」と報道しますが、私はこの説明にいつも違和感を感じます。ローマ教皇は神の代理人です。従って代理人を指名できるのは、本人である神自身だけのはずです。カトリック教会も、「教皇を選んだのは神だ」と考えています。

我々は神社でおみくじを引くとき、筒を振って小さい穴から棒を一本取り出します。その棒には例えば9の番号が書いてあって、社務所でその番号を告げると、9の番号を書いたおみくじが渡されます。「この9の番号を選び出したのは我々人間ではなく、神様が9の番号がでてくるように仕向けた」と日本人は考えます。神が9番のおみくじを選んだのです。

コンクラーベも同じです。神は、多くの枢機卿がアルゼンチン出身のホルヘ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿に投票するように仕向けたために、彼が多数の票を獲得してフランシスコ教皇になった、と考えます。

コンクラーベと同じ議決方式が西欧諸国の議会に取り入れられ、多数決の原則になっていきました。民主主義というのは、「多数派の意見の中に神の意思がある」という考え方です。

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