欧州の難民問題

これから難民・移民の問題を書こうと思います。昨年ドイツが難民を無制限に受け入れると宣言したことが発端となって、中東から難民が殺到して欧州が大混乱しました。

イギリスは欧州大陸からのイスラム系難民流入を嫌がり、EUを脱退してしまいました。大陸諸国でも、難民排斥を主張する政党が大躍進しています。

日本のマスコミは、難民排斥を主張する政党を「極右」と呼んで、極端な意見を主張する少数派であるかのように印象操作をしています。しかし、かつての欧州は、アジア・アフリカを植民地にしたり、黒人の奴隷貿易を行ったり、人種差別・宗教差別をごく当たり前にやっていました。それは、これらの差別がキリスト教の信仰から出てきたものだからです。

キリスト教の信仰から、「イエス・キリストと同じ正しい心で考えたことであれば、社会のルールにこだわらなくても良い」という「自由」が生まれました。そしてこの自由の解釈の違いによって、いろいろな自由が派生しました。

移民を排斥したり黒人を奴隷にする主張は、「イエス・キリストと同じ心で考えたことであれば」という条件を重視しています。そこから「キリスト教を信じない異教徒には、自由はない(積極的自由)」という考え方が出てきます。

一方、「社会のルールにこだわらなくても良い」という側面を重視する発想では、異教徒にも欧州に居住する自由などを認める(消極的自由)、という結論になります。

二つの意見の相違は、「自由」の要素のどちらを重視するか、の違いから生じたものです。根本が同じ考え方だから、状況の変化によって、片方からもう一方へ意見が容易に移ります。

欧州は宗教改革後長い間、積極的自由が優勢でした。しかし次第に、消極的自由の方が優勢になってきました。
そしていま、あまりに大量の移民が引き起こした社会的混乱によって、振り子がもとに戻ろうとしています。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする