トップが自ら行うロビー活動もある

昨日のブログ記事では、プロのロビーストが高額な報酬を得て依頼人のために働いているケースを紹介しましたが、その範疇から外れるような活動もあります。要は、相手国の権力者や世論に何らかの影響を及ぼすような活動は、広い意味でロビー活動です。

例えば、2016年の11月の大統領選挙で、トランプ候補が当選しましたが、正式な大統領就任は翌年の1月20日でした。安倍首相は大統領就任式前にワシントンに行き、ニューヨークのトランプタワーに行って、トランプ氏と会談しました。これなどは見事なロビー活動と言っても良いと思います。

第二次大戦前の日本は、外交交渉は駐米大使がするものだと思い込んでいてロビー活動を一切しませんでしたが、他国は違いました。ドイツとの戦争で敗けそうになっていたイギリスのチャーチル首相は、ルーズベルト大統領と友達になってアメリカを、戦争に引っ張り込みました。

日本と武力対立をしていた中華民国の蒋介石総統も、ロビー活動の名手でした。彼は何度目かの結婚相手に、支那の大財閥の娘の宋美齢を選びました。彼女はアメリカの女子大出で、英語がペラペラでキリスト教徒であり、アメリカの有力ファミリーと太い人脈を持っていました。蒋介石は宋美齢と結婚した後、自らキリスト教に改宗しました。支那の指導者がキリスト教徒になったので、アメリカの支配層は好感を抱き、一挙に支那びいきになりました。蒋介石夫婦は、アメリカで日本軍の残虐さを伝えるウソを盛んに宣伝しました。

蒋介石夫婦の捏造工作もあって、アメリカ人の支配層は反日に傾きました。そして最後にはハルノートという、到底日本が呑めないような条件を付きつけました。ハルノート(日本は支那から全面撤退すべし、さもなくば日本に石油を売らない、という内容)を見た日本は、これ以上の外交交渉は無駄だと思い、戦争を決意しました。

実は、アメリカはハルノートの内容を一般国民にも国会議員にも知らせていませんでした。だから多くのアメリカ人は、日本軍が真珠湾を攻撃した時、なぜ日本が攻撃したのか、理解できなかったのです。この時に日本が、ロビーストを使ってハルノートの内容をアメリカ人に暴露したら、ルーズベルト大統領は窮地に追い込まれる可能性もあったのです。

この時も今も、日本人はロビー活動の威力に気づいていません。