私はロビーストがどのような人たちでどういう活動をしているのかを、少し調べてみましたが、全体像がつかめませんでした。
ロビーストになるのに、特に資格は必要ありません。一応は議会にロビーストの登録をしなければならないことになっていますが、登録していない大物ロビーストもたくさんいるのです。そもそも登録して見える形で活動するのは、ロビー活動にとって不利です。
永年上院議員をやっていて今は隠居しているという人物が、人に頼まれて大統領に話をすることなどいくらでもあります。彼が依頼人を大統領に紹介したら、依頼人が感激して多額の献金を大統領にすることもあるでしょう。それを「闇でロビー活動した」と摘発することはできないと思います。
ロビーストの活動の全般を説明することは無理なので、具体的な事例を少し紹介します。2008年9月に起きたリーマンショックの際、ブッシュ政権は7000億ドル(70兆円)の公的資金を銀行や証券会社に投入することを決め、議会はこれを可決しました。このときの議会上院の銀行委員長は、以前大統領選挙に立候補した際に銀行団体から474万ドルの資金援助を受けていました。またこの法案に賛成した下院議員には、平均83万ドルを金融業界が献金していました。
アメリカの連邦予算には、イヤーマーク(earmark)という制度があります。連邦政府が使途を指定して、他に流用しないことを条件として交付する一種の地方交付金です。地方選出国会議員が地元のためにこれを獲得してやって、地盤固めをするためによく使います。
ある大学は、毎月1万ドルをロビーストに払って、このイヤーマークをうまく獲得させる方法を地元出身の国会議員に伝授させています。8年間で100万ドルをロビーストに払い、400万ドルのイヤーマークを獲得することに成功していて、大学はこのロビースト事務所に満足しています。
多くの市役所は、連邦資金の獲得が出来るか、各省庁の歳出法案のうちのどれに含ませれば実現するかを探るためにロビーストを雇っています。このように大学や自治体、警察などもロビーストを雇って利用しています。