光圀も歴史書を書くことにした

幕府に仕えていた林羅山(らざん)とその息子の道春も、『本朝通鑑(つがん)』という歴史書を書きました。

この本には、天皇家の先祖は太伯だ、と書かれています。太伯は3000年以上前の支那の伝説的な人物で、孔子が太伯のことを「道徳的で非常に立派な人だった」とほめています。太伯は今の上海あたりの領主で、その子孫が日本に流れ着き天皇家になった、とこの本は主張しています。

「儒教的に非常に立派な人の子孫だから、天皇陛下も儒教の教えを守っている立派な人物である。その天皇陛下から征夷大将軍に任命されている徳川将軍も立派な人物であり、日本を治めるのにふさわしい」。このようなことを林親子は主張したかったのです。

林親子は自分たちの主人である徳川将軍をヨイショするために、何の根拠もない「天皇陛下外国人説」を言い出しました。

「天皇陛下の先祖は外国人だった」などというデタラメな主張に驚いた光圀は、林親子のような者に好きなようにさせてはならないと考え、自分で歴史書を書こうとしました。
こうしてできたのが、『大日本史』です。

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