欧米列強と相次いで不平等条約を締結させられたため、幕府は欧米の法律を知る必要に迫られました。そこで津田真一郎と西周(にしあまね)をオランダのライデン大学に留学させ、法律と哲学を学ばせました。
津田はライデン大学で受けた講義の内容を、明治になる直前に『泰西国法論』として出版しました。『泰西国法論』は憲法の概説書で、明治以降も非常によく読まれました。彼は法律の専門家として明治政府から高い評価を受け、男爵の位を授けられています。
この本の中に、「西欧諸国は、相手の国が文明国か否かで態度を変える。その判断基準は、自由と平等を国民に保障しているか否かである」という記載があります。
自由と平等の考え方が全くない野蛮国は、国家として認めず植民地にされます。しかし日本が自由と平等を憲法で保障する文明国になれば、欧米列強は不平等条約を改正し、対等な国として扱うはずです。
明治22年に大日本帝国憲法が公布され、国民に自由と平等の権利を保障しました。一般的には、「自由民権論者が騒ぐから、政府はいやいやながら憲法を制定した」などと言われていますが、これは間違いです。
政府は日本を欧米と対等な国にしようとして、憲法を制定したのです。また、日本を近代国家にして富国強兵を実現するためにも、国民に自由と平等を保障する必要がありました。
イエス・キリストと同じ正しい心を持っている者は、他人を助けようとします。その時に障害となるようなものは、たとえそれが法律だろうが無視しても良いのです。これが自由の考え方の原点です。
イエス・キリストの心を持たない野蛮国は、植民地にして教育的見地から労働を強制しなくてはなりません。しかし正しい心を持った国は、放っておいても悪いことはしないので、紳士的に扱うべきなのです。これが、欧米のキリスト教国の考え方です。