日本のパスポートの表紙の裏には、「日本国民である本旅券の所持人を通路支障なく旅行させ、かつ、同人に必要な保護扶助を与えられるよう、関係の諸官に要請する。 日本国外務大臣」と書かれています。
日本人のあなたが、外国(例えばフランス)に観光旅行に行くとします。あなたがパリのシャルル・ドゴール空港に着いたときに、あなたはパスポートを入国審査官に見せるでしょう。そうしたら審査官は、よほどのことがない限りパスポートにスタンプを押すはずです。これは、日本の外務大臣が「この日本人を守ってくれ」と頼んだのに対し、フランス政府がそれを認めたということです。
フランス人が日本に入国する時も同じで、フランスの外務大臣が日本政府に「このフランス人を守ってくれ」と要請しています。この要請に日本政府が応じなければ、日本はこのフランス人を守る義務はありません。
日本国憲法の第11条(基本的人権の享有)には、「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与えられる。」と書かれています。
日本政府が守らなければならないのは、国民(日本人)の人権だけです。外国人の人権を守る義務など、もともとありません。
このように、国家は国民を守り国民は国家のために必要な義務を果たす、というようにお互いが頼りあっているというのが、国家と国民の関係です。
国家に帰属していない「世界人」など、現実の世界にはありえません。実際には何かの手続きもれでごく少数の「無国籍人」が日本にも居住していますが、彼らの生活はとても悲惨です。