「歴史」でソニーをイジメる

10月18日 北京市の市場監督管理局がソニーの中国法人に対して、100万元(1800万円)の罰金を課しました。支那事変の発端となった盧溝橋事件と同じ、7月7日に新型カメラを発表すると予告したことは、中国国家の尊厳を損なった、という理由からです。ソニー中国は、「日付の選択により誤解や混乱を引き起こした」と謝罪、発表イベントを中止しました。

中国の広告法は、「広告は国家の尊厳や利益を侵害し国家機密を漏洩してはならない」と定めています。ソニーは中国だけでなく世界中で7月7日に同時に新製品の発表をする予定だったので、特に盧溝橋事件を意識したはずもなく、言いがかりにすぎません。

日本政府がアメリカに同調して反中国化していることに対して、中国政府は不満なのですが、露骨に日本政府を非難するのは得策ではありません。そこで、日本企業をいじめて搦手から日本をけん制しようとしている、ということでしょう。

9月にも似たような事件がありました。大連市に「盛唐・小京都」という別荘地が開発されました。その中心には京都を模した街並みのリゾートも備えており、高級感を演出しました。ところが、「大連は日本の植民地だった。屈辱の歴史を忘れたのか」という批判に晒され、開業からわずか9日で休業してしまいました。

どの国も国益のために外国企業をイジメることがありますが、中国人のやり方は本当に品がありません。中国ではいまだに抗日戦争映画が作られています。日本兵を悪役にした荒唐無稽な内容ですが、これに影響された中国人がかなりいるので、日本人や日本企業をたたくと大勢の中国人が同調します。

中国でいまだに抗日戦争映画が作られているのは、共産党が作り上げた中華人民共和国には正統性がないからです。第二次世界大戦中の中国は三つに分かれていました。汪兆銘率いる南京の中華民国と、蒋介石が率いる重慶の中華民国と、毛沢東率いる陝西省の山奥に逼塞していた共産党勢力の三つです。

汪兆銘率いる南京国民党は中国の主要部分を抑え、日本と連携していました。蒋介石率いる重慶国民党はアメリカと連携し、アメリカの援助を受けてわずかながら日本軍と戦っていました。毛沢東率いる共産党軍は、日本軍と戦わず、日本が負けた後の国民党軍との決戦のために兵力を温存していました。

日本が戦争に負けたため、日本と連携していた南京の国民党政府は消滅し、アメリカと連携していた重慶国民党政府が中国の正統な政府だということになりました。この国民党政府に対して共産党勢力が戦いを仕掛け、内乱の後に勝利を得て、1949年10月1日に中華人民共和国を樹立しました。

つまり、毛沢東率いる中華人民共和国は、日本が戦争に負けた時点では存在していませんでした。その前身の共産党勢力は日本軍とは戦っていませんでした。従って共産党の軍隊が日本軍と戦って中国を解放したと言うのはウソで、彼らには中国を統治する正統性がないのです。そこでこのデマを維持し続けるために、抗日戦争映画を作り続けています。

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