およそ80人のフランスの現役将校と退役将軍、さらには現役の兵士たちがマクロン大統領のとっているイスラム教徒融和策に反対し、大統領に嘆願書を送りました。それだけではなく、その内容を保守系の雑誌に掲載し、広く国民に知らしめました。
実にこれは大事件です。このままでは、フランスで従来からのフランス人とイスラム系の移民との間で内戦が起きる、と軍人たちが大統領に警告しているのです。もしも、マクロン大統領がこの警告に耳を傾けないと、今度はこれらの軍人が反政府の活動を始める恐れもあります。
戦前の二・二六事件は、日本軍の部隊が反乱を起こした事件ですが、この時に反乱に参加した将校は20人足らずでした。ところが今回は、将軍も含めた80人の将校が参加しているのです。軍人が政府のやっていることに公然と不満を表明するのは、反乱とまでは言えませんが、重大な規律違反です。だから参謀総長は、彼らをクビにしようとしています。
4年前の大統領選挙でマクロンと争った国民連合という保守政党のマリーヌ・ルペン党首は、署名した将軍・将校や兵士の行為に共感を示しています。来年にはまた大統領選挙があるので、この事件は政局になっています。
フランスは、革命やクーデターが大好きな国です。思いつくだけでも、
1789年 フランス革命
1794年 テルミドールのクーデター
1799年 ナポレオンが起こしたブリュメールのクーデター
1830年 7月革命
1848年 2月革命
1851年 ルイ・ナポレオンのクーデター
1958年 ドゴール将軍のクーデター
1961年 ドゴール反対派のクーデター(未遂)
ドゴール将軍が起こしたクーデターから60年以上経っているので、そろそろ新しいクーデターが起きても良い時期です。いま世界は、非常に不安定になっているので、他の西洋諸国やアメリカに飛び火する恐れがあります。
このように今回のフランスの公開嘆願書事件は、日本人も是非知っておくべき事件です。ところが、この事件を報じている大手マスコミは無いようです。
次回に続きます。