我が家でもおひな様を飾りました。五人囃子とか三人官女・牛車などゴチャゴチャしているのは下品なので(本当はお金と場所がないので)、お内裏様夫妻だけの簡単なセットを大昔に買いました。
このセットを家内が飾り付けしているのを見て、何か変だと思いました。
私は、「お内裏様の方が右側(向かって左)なのは、日本の伝統に反するのではないか」と家内に言いました。
日本では昔から、左の方が右より偉いのです。左大臣は右大臣より偉いのです。そして昔は夫の方が妻より偉かったのです。
家内もそのことは分かっているのですが、おひな様の飾り方の説明書には、男が右だ、と書いてあるのです。
おかしいと思っていろいろ調べてみました。明治の中ごろに政府が従来のしきたりを逆にするように、とお触れを出していました。
西洋では、右の方が左より偉いのです。そこで日本政府は、西欧に合わせて、天皇皇后両陛下が並ぶときは、天皇陛下が右に立たれるべしというお達しを出したのです。
余計な話ですが、インドでも右の方が左より偉いはずです。左手は、トイレでお尻を水で洗う手です。だからインド人は決して左手で物を食べません。
大正天皇のご即位の時は、皇后陛下は即位式を欠席されました。しかし昭和天皇のご即位式の時、陛下が皇后陛下の右側に立たれている写真が新聞に載りました。
そのときはじめて、日本中が左右の序列が逆になったことを知りました。そして以後、おひな様も逆に並ぶようになったのです。