武漢研究所のウイルス研究にアメリカも関与

パンデミックが始まった昨年の1月ぐらいから、「ウイルスは武漢研究所から漏れた」という「武漢研究所起源説」が起きていました。トランプ大統領も、この説を主張していました。しかし大手マスコミは、この説を「陰謀論だ」と嘲笑していました。フェイスブックやグーグルなど大手SNSは、「武漢研究所起源説」は科学的根拠がないとして、この内容の投稿を削除していました。昨年1月から今年の5月末まで、アメリカだけでなく世界中で、「武漢研究所起源説」は非科学的なデマだとされていたのです。

ところが6月初めから、アメリカのマスコミは一斉に、「新型コロナ・ウイルスは武漢の研究所から漏れた可能性が大である」という報道を行いました。それと同時期に、ファイスブックやグーグルも規制を解除しました。このようなアメリカの変化を受けて、朝日新聞や毎日新聞など日本の大手マスコミは、6月8日に一斉に、アメリカの新聞の記事を引用する形で、「新型コロナ・ウイルスは武漢の研究所から漏れた可能性が大きい」ということを報道しました。

今では、このウイルスが武漢研究所から漏れたという「武漢研究所起源説」が世界的な常識になりつつあります。そして今の争点は、「ウイルスは過失により研究所から漏れたのか」、それとも「中国は意図的にウイルスを生物兵器としてばら撒いたのか」、ということに移っています。

武漢研究所で何が起こったのか、について今現在分かっている事を簡単に説明します。

この問題に関して、アンソニー・ファウチ博士が極めて重要な役割を果たしています。彼はアメリカ国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)の所長を37年間も務め、さらにアメリカの歴代の大統領に感染症関係のことを助言していて、医療面では極めて影響力の大きい人物です。

ファウチ博士は、ウイルスの機能獲得実験を行おうとしました。機能獲得実験というのは、ウイルスに対する理解を深めるために、そのウイルスの遺伝子を変えて機能を増強させるという実験です。わざとウイルスの毒性を増やすことになるので、もしもそのウイルスが実験室から外部に漏れたらパンデミックになります。

ウイルスの機能獲得実験は極めて危険なので、それを行うことをオバマ政権は禁止しました。2014年のことです。しかし諦めきれないファウチ博士は、アメリカ国外の研究所にその実験をさせようとしました。そこで、彼はダザック博士に、機能獲得実験を行う外国の研究所を紹介してもらいました。

ここで、ピーター・ダザック博士という第二の重要人物が登場します。彼はイギリスの動物学者で、人畜共通感染症の専門家で、WHOの専門家会議のメンバーです。さらにアメリカの非営利団体であるエコヘルス・アライアンスの代表でもあります。また今年の年初にWHOが武漢に調査団を派遣しましたが、そのメンバーでもありました。

ダザック博士は幅広い人脈を持っており、ファウチ博士に中国の武漢研究所を紹介しました。そこでファウチ博士は、自分が所長を務めるNIAIDの資金を、エコヘルス・アライアンスを経由して武漢研究所に提供しました。

アメリカ政府は、2017年~2020年の間にエコヘルス・アライアンスに1億2300万ドルの資金を提供しています。中でもアメリカ国防総省は最大のパトロンで、3900万ドルの資金を提供しています。エコヘルス・アライアンスには、国防総省・その他のアメリカ政府・NIAIDという多くのルートで、莫大なアメリカの税金が流れ込んでいます。

エコヘルス・アライアンスが武漢研究所に資金を提供していたことは否定できない事実です。そこで、ファウチ博士もダザック博士も、自分たちは今回のパンデミックには責任がないことを明らかにするために、「武漢研究所に機能獲得実験のための資金は提供していない」と頑張っています。2020年5月に上院で公聴会が開かれた時も、ファウチ博士は、同じ主張を繰り返しています。ところがその主張が、様々な証拠によって論破されつつある、というのが現状です。

第三の重要人物は、武漢研究所の石正麗博士です。彼女は武漢研究所の研究員で、コウモリの持っているウイルスの研究で有名なことから、バット・レディーと呼ばれています。

彼女はダザック博士と関係が深く、共同で3つの論文を書いているほどです。2年前に機能獲得実験に関する論文を書いているので、彼女が機能獲得実験を行っていたことは間違いがありません。その論文の中で、ファウチ博士をスポンサーと呼んでいます。

武漢研究所が機能獲得実験を行った結果、強力な毒性を持ったウイルスが誕生し、それがパンデミックを起こした可能性が大きいのです。もしそうであるのならば、アメリカに大変な被害をもたらしたパンデミックを起こすためにアメリカ人の税金が使われた、ということになります。

次回に続きます。

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コメント

  1. 法太郎 より:

    なるほど、コロナウイルスは中国起源だが、アメリカの研究者も関与していたので、アメリカ政府は表立って中国を非難出来なかったんですかね。また、中国も当初「アメリカ陰謀論」みたいな声明を堂々と話しており、全くの虚言でもなかったと。
    何であれ、世界中に大被害をもたらしたウイルスですから、責任がどこにあるのか
    はっきりさせて欲しいですね。