土地の所有権が無制限なのが問題

北海道など地方の広い土地が外国人に買われており、日本の安全保障が脅かされ、地域の治安にも問題が生じています。なぜこのように日本の土地が簡単に買われてしまうのかその原因を探っていくと、問題はかなり複雑だということが分かりました。

おおよそ、下記のような理由があります。
1,日本人は所有権を絶対視していて、その制限をすることが難しい
2,地方が衰退し過疎化して、土地を所有するメリットがなくなった。だから土地を買ってくれるなら、誰にでも売るようになっている
3,外国人の土地取得を制限することは、平等に反するという気分が強い

フランス革命など西欧の革命は所有権を確立するために行われました。だから私は、西欧は所有権を絶対視していると思い込んでいましたが、実際には西欧では所有権はかなりの制限を受けています。

スイス人の友人が所有している土地が軍事基地建設のために収用されたということがありました。その土地が役所によって、公共のために必要だと認定されたので、彼は売ることを拒否することが出来ず、価格交渉しかできないのです。一方の日本では、道路や飛行場を作る際、地主に土地の売渡を承知させることが困難を極めます。

憲法の規定も西欧と日本では明らかに違います。ドイツの憲法である基本法の第14条は下記のように規定しています。
(1)所有権および相続権は保障される.その内容および制限は法に規定される
(2)所有権は義務を伴う.その行使は同時に公共の福祉に貢献せねばならない

一方、大日本帝国憲法の第27条は、「日本臣民はその所有権を侵されることなし」と極めてシンプルにその絶対性を認めています。

また日本国憲法の29条も下記のように絶対性をかなり強く認めています。
1項 財産権は、これを犯してはならない
3項 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる

西欧と日本の所有権に対する考え方がなぜ違うのかを、大石久和先生が納得できる説明をしています。彼は京都大学の大学院で土木を学んだあと建設省に入省し、道路局長を務めました。今は京都大学・東京大学・早稲田大学で教授をしています。

彼は戦後の「公共事業」を推進した官僚だったので、客観的な見方をしていないという意見があるかもしれません。しかし私は、彼の主張を素直に受け入れることができました。

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