太陽がいっぱい

『太陽がいっぱい』というフランス映画を見ました。1960年制作というから、今から57年前の映画です。当時は非常に評判だった映画ですから、名前ぐらいは知っている方も多いと思います。主演のアラン・ドロンは今は82歳ですが、当時は25歳でした。

別に主演のアラン・ドロンを特に気に入っているわけではなく、ストーリーが入り組んでいるというわけでもありませんが、私はこの映画が好きです。

ストーリーに関係のないところをできるだけ省いて、監督が伝えたいことを観客に強く訴える作り方がいいのです。

アランドロン扮するチンピラが殺人を犯す場面など、陶器の壺で男の頭を殴るという描写をしているだけで、とてもこんなことで人が殺せるとも思えません。死んだ男がどのようにひっくり返って息絶えたかなどの描写もありません。

要するに「チンピラが男を殺した」ということが観客に伝わればそれでよい、という態度です。余計な描写を排除して全体をシンプルにしているために、監督が言いたいことがストレートに観客に伝わるのです。

映画の好みなど人さまざまで良いのですが、余計な描写を省いたこういう映画がまたできたらいいな、なんて思ってます。