「国家は悪いことをする」という発想が「安倍政治を許さない」を生んだ

いわゆる「モリカケ」を政治的な疑惑に仕立て上げて安倍首相を退陣させようという運動が、朝日新聞によって行われ、他のマスコミや野党が追従したために、 一年以上の長い間まともな政治的議論がほとんどストップしてしまいました。安倍首相が権力を不正に行使して、友人の便宜を図ったという言いがかりをでっち上げていたわけです。

朝日新聞がなぜこのように安倍晋三を攻撃するのかについては、さまざまな意見があります。その一つに、安倍晋三首相のおじいさんにあたる岸信介と朝日新聞の確執が尾を引いているのではないか、という憶測があります。岸信介の娘が安倍晋太郎に嫁いで生んだ子供が安倍晋三なのです。ちなみに岸信介の実弟が佐藤栄作元首相です。

岸信介は、今から60年近く前の1960年に日本政府が日米安全保障条約を改定したときの首相でした。この時の安保反対運動は非常に激しく、連日百万人以上のデモ隊が国会を取り囲んでいました。まだ幼かった私もこの様子をテレビで見ていました。

何がどうなっているのかは分かりませんでしたが、「みなが嫌がることをしているのだから、岸信介というやつは悪いやつなのではないか」と漠然と考えていました。デモ参加者が百万人ということは、9900万人はデモに参加していないということにその時は思い至らなかったのです。なお当時の人口は約1億人でした。

当時20歳前後の学生だった安保反対派が朝日新聞に入って岸信介憎しの伝統を作り上げたので、孫の晋三が政治家として成長するにしたがって、反安倍の気持ちが強くなっていった、という憶測なのです。

また、2017年の5月3日の憲法記念日に安倍首相が憲法改正を明言したので、朝日新聞内で一気に安倍憎しという雰囲気が盛り上がったのではないか、という推測もあります。いずれにしても、安倍晋三は「悪いことをする国家」の代表にされているのです。

「国家は悪いことをする」という考え方は現実政治を観察して導き出した結論ではなく、大乗仏教の考え方から来た思い込みにすぎません。したがって「反安倍」に具体的な根拠が乏しく、彼らのスローガンである「安倍政治を許さない」というのは、単に彼が嫌いだということを表明しているだけです。そして売春クラブに入り浸っていた「反安倍」のピーチ前川(前文科省次官)を英雄扱いするほど、前後の見境がありません。

以下はひと続きのシリーズです。

11月19日 キリスト教・神道と仏教は目的が正反対

11月20日 若いときに出家するという習慣は、仏教から始まった

11月21日 おしゃか様の出家生活は、すさまじかった

11月22日 出家は、もともとは家も友人も持たない厳しいもの

11月23日 仏教は世界的に見ると、勢力は弱い

11月24日 今の日本の社会問題の多くは、神道と仏教の使い分け原則が崩れたことに原因がある

11月25日 FreedomとEqualityの訳語に仏教用語を使ったために、使い分けの伝統が崩れた

11月26日 神道と仏教との使い分けが崩れたために、「国家は悪いことをする」という考えが広まった

11月27日 仏教は、無理してものを捨てなくても良い、と教義を次第に甘くしていった

11月28日 仏教は、欲望を抑えきれない凡人が戦争を起こす、と考える

11月29日 権力を監視するのが憲法の役割、という考え方をマスコミは悪用した

11月30日 憲法に違反することが出来るのは、国家だけ

12月1日 欧米には、国家を監視しなければならない、という発想がある

12月2日 欧米人が考えていたのは、「国家は悪いことをする」ではなく、「権力者は悪いことをする」

12月3日 マスコミは、「国家は悪いことをする」と思い込んでいる

12月4日 マスコミが権力を監視することは非合法であり、不要である

12月5日 地下鉄サリン事件やテロ事件によって、テロ等準備罪の必要性が高まった

12月6日 「国家は悪いことをする」と思い込んだ者たちは、テロ等準備罪に反対した

12月7日 「国家は悪いことをする」という発想が「安倍政治を許さない」を生んだ

12月8日 「国家は悪いことをする」と思い込んでいる者も、一種の愛国者

12月9日 刑事事件の被告は、国家権力からいじめられている者

12月10日 支那や朝鮮が行った残虐行為に言及しない