近畿財務局は、土地売却時にミスを犯した

国有財産を売却する場合は、公開入札と随意契約(役所が最初から売却の相手を選んで価格交渉をする)の二つの方法があります。それぞれ長所と短所がありますが、金額が大きい案件や利害関係が錯綜していてややこしい案件などは、公正を期すために公開入札にするべきでしょう。

この土地は問題が多いので買い手がそう簡単に見つかりませんでしたが、籠池さんの方から土地を売ってくれという要請がありました。そこで役所としては、そのままずるずると籠池さんと売却交渉を続けました。

近畿財務局は、籠池さんとの交渉がややこしくなりそうな段階で随意契約交渉を打ち切り、公開入札にすべきでした。入札に籠池さんしか応じず安くしか売れなかったとしても、それが市場価格なので、問題ありません。隣の野田中央公園は、もともと14.2億円のはずのものが、結局2000万円になったのを思い出してください。

籠池さんは、この土地の地下9メートルまでゴミが埋まっていることや有害物質に汚染されていることを、最初は知りませんでしたが、近畿財務局と交渉をしている途中で知りました。また隣の公園になった土地が、結局ただみたいな価格になったことも、当初は知らなかったようです。

民法の570条(売主の瑕疵担保責任)は、売り物に隠れた瑕疵(欠陥)があることを買主が知らなかったら、買主は損害賠償の請求ができる、と規定しています。近畿財務局にはこの土地の欠陥(ゴミが大量に埋まっている、有害物質に汚染されている、いわくのある土地柄だった)を最初に告げずに売却交渉に入ったという落度があります。

籠池さんは近畿財務局の不誠実な態度を責めて、値引きをしろ、とギャーギャー騒いだのです。あるいは裁判に訴えると近畿財務局を脅した可能性もあります。近畿財務局は、自分たちに落度やミスがあった結果、価格を引き下げるはめになりました。

決裁文書の添付資料を読んでみると、この案件を公開入札せず籠池さんとだけ売買交渉をした随意契約が正しいと多くのところで強調しています。また「この案件は特殊だ」という記載を削除しています。近畿財務局が籠池さんと随意契約したというミスを表ざたにしたくないという思いがよく伝わってきます。

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