フランス共和国の皇帝

ナポレオンは1804年に皇帝になりました。写真のように、それより後の1806年に鋳造された20フラン金貨の裏には、REPUBLIQUE FRANCAISE(フランス共和国)と刻印されています。

この金貨の表は、NAPOREON EMPEREUR(ナポレオン皇帝)となっています。つまりナポレオンは、フランス共和国の皇帝なのです。

みなさんは、「何かおかしいな」と思われるでしょう。

REPUBLIQUEやEMPEREURはもともとラテン語で、日本語の共和国(君主がいない国)や皇帝(支那の皇帝のような独裁者)とは意味が違います。

EMPEREURは軍隊の司令官という意味で、君主を意味しません。

REPUBLIQUEというのは「まともな国」という意味です。異民族に征服された国や階級差別の厳しい国では、支配者と庶民の考え方がまるで違い、両者に共通した法律や習慣がありません。そういう国は不安定で理不尽なことが多発します。

REPUBLIQUEは、支配者も庶民も同じルールに従っている国という意味で、こういう国は安定していて、まともです。別に国王が一人で統治しているのか、少数の貴族政か、直接民主制か、など何人で国を統治しているのか、とは関係がありません。

まるで伝統が違う国の文化を不注意に日本語に訳すと、とんでもない誤解が生じます。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする