西欧では、伝統的な仲間意識が破壊されたが、それを取り戻そうとしている

カトリックは、イエス・キリストを信じる信者はみな同じ仲間である、と考えています。中世の西欧では、カトリック教会が西欧全体を支配していたので、西欧人全部が仲間だと考えられていて、民族の違いはあまり意識されていませんでした。

16世紀に宗教改革が起きて、キリスト教がカトリックとプロテスタントに分裂し、プロテスタントはさらに、ルター派・カルヴィン派・英国国教会などに分裂しました。このために宗教改革後の西欧人は、同じ宗派を信仰している者が仲間だと考え、同じ民族でも宗派が違うものを仲間とは考えなかったのです。

17世紀になると、国王は自分が信じているキリスト教の宗派の教えを、国民全員に強制的に信じさせようとしました。その結果、イギリス人は英国国教会を信仰し、フランス人はカトリック、オランダ人はカルヴィン派、プロイセンのドイツ人やスウェーデン人はルター派を信仰するようになったのです。

ひとつの国民は同じ宗派のキリスト教を信じるようになったので、国民全員が一つの仲間を形成しているという意識が出来上がりました。

ところが20世紀後半になって、多国籍企業の経営者などのグローバル主義者が、従来の考え方とは全く違う主張を始めました。「人種が違っても、民族文化が違っても、キリスト教徒でなくても、みんな同じ仲間だ」と言い出したのです。

このグローバル主義は、学校とマスコミを通じて強力に宣伝されたために、多くの国民はそれが正しいと思うようになりました。ところが外国から移民が西欧に押し寄せて社会的に大きな問題が起きたことによって、多くの国民が疑問を感じるようになりました。そして、キリスト教など伝統の文化を共有する同じ民族だけが仲間であり、その範囲のなかで互いに助け合おう、という考え方に戻りつつあります。

「人種が違い、民族文化が違い、キリスト教徒でなくても、みな同じ仲間だ」という主張は、多国籍企業の利益のために新しく考え出されたもので、大昔からある伝統的な考え方ではありません。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする