支那では、孝が圧倒的に重要で、他の道徳は軽視されている

人間は、集団のメンバーの結束を強めるために、集団内で守るべき道徳を作り出しました。1、仲間が困っていれば助けること
2、所属する集団に忠誠を示すこと
3、正義を行い、他者を公平に扱いこと
4、伝統を尊重し、正統な権威を敬うこと
5、身辺を清潔にし、肉欲から遠ざかること

この道徳規範は、世界中のどの民族も同じです。しかしそれぞれの民族には伝統的な考え方があるので、道徳の具体的内容や優先順位は、それぞれ異なります。例えば、支那人の伝統的な道徳観は、同心円を描いています。自分が円の中心にいて、自分が一番大事です。

その周辺に宗族(血族)があり、彼らを大切にするという道徳が孝です。宗族の外側にいる特に親しい友人は大事にしますが、その他の赤の他人を助けようという気持ちはまずありません。

宗族(血族)の維持・拡大を支那人は何よりも重視するので、自分の子孫(男系の)を残すことが非常に大事です。そのためにできるだけ多くの子供を作ろうとし、皇帝は「後宮三千人の美女」を持つことになります。従って「肉欲から遠ざかること」という道徳は重視されません。

支那人の重視する道徳は、家族・宗族という狭い集団の中で助け合うこと(孝)であって、その他の道徳は軽視します。集団の結束を強めるためにできた世界共通の道徳も、バランスを欠いたものになり、社会を結束させる役に立っていないのです。

一時的に非常に盛んだった仏教が廃れてしまったのも、支那人が孝を異常に大切にしたことが一因です。仏教の出家というのは宗族との絆を断つことなので、孝と基本的に相いれません。

支那人は、自分が属する宗族を異常に大切に思うあまり、自分の周辺にいる他人と仲良くしようという気持ちを失ってしまいました。そのために支那人は、他人どうしが互いに助け合うことによって成立する近代国家を、いつまで経っても作ることができません。

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