人間は仲間の選別を行う

エール大学のカイリー・ハムリンという心理学者が、生後6~10ヶ月の幼児にビデオを見せて実験をしました。

最初のビデオで幼児たちに、木製の人形が丘を登ろうとする様子を見せました。なかなか登れずにいるところに、別の2つの人形が登場しました。1つの人形は、木製の人形を押して登るのを助け、もう1つは、丘の下に突き落として登るのを妨害しました。このビデオを見せた後で、幼児たちにあとから登場した2つの人形から1つを選ばせると、ほとんどの幼児が助けた人形を選びました。

2つ目のビデオで、登山していた人形が、助けてくれた人形と妨害した人形のそれぞれに近づく様子を見せました。妨害した人形に近づいたとき、幼児たちは驚く様子を見せたのです。この実験でわかるように、人間は生まれながらにして、人助けをする者とそうでない者を見分ける能力を備えています。

1歳ぐらいの時には誰に対しても相手を選ばずに助けていた幼児も、三歳を過ぎると、過去に何か分け与えてくれた者を優先するなど、互恵主義によって助ける相手を選別するようになります。

ある程度成長すると、人間はうわさ話をするようになります。少数の仲間が集まって、互いに自分に関する打ち明け話を行い、その場にいない者がどうなっているかを聞きます。このようにして人間は他人に関する個人情報を集め、その人物と自分が互恵関係を持つべきか否かを判断します。

人間は他人と話しをする時間の8~9割を噂話に使っています。社会的地位のある者が集まる会議に出席しても、やはり8割がたは実質的に噂話をしていて、真剣な議論はほんの短時間しかしません。「君はこの間のゴルフで、90を切ったんだってな」「実は、私の娘が来月結婚することになりまして」という具合です。

噂話は、冗談ではなく人間にとって非常に重要なことなのです。ということは、人間は絶えず、仲間の選別を行っているということです。

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